第592話 そろそろ寝ようかな。的なお話
〜アデラード視点〜
レント達の訓練を終えたら帰路に着く。
その際に家に持って帰っていい仕事を持ち帰るのを忘れない。
これを忘れると明日が大変なことになるからね。
って、あ!
あーー、忘れてたー。
そういえば明日は太守が来るんだった。
はぁ……。
明日の訓練はエリーナにお願いするしかないかな。
家に帰りメイド達が用意したご飯を食べながら仕事を進めていく。
はぁ……めんどい。
でもこれは明日朝一までに終わらせてってエリーナに言われてるし、なんとか済ませないと。
本当はレントのところに行きたかったんだけど仕方ない。
よし。
これで終了、と。
さて、次はレント達の訓練内容でも考えよっかな。
「あ、こないだ新しいお酒買ったよね。あれ持って来て。あと何かつまみになるのもね。」
メイドにお酒を頼んで私はレント達からもらったステータスを写した紙を眺める。
…………レントのこの爪楊枝作りってなんの冗談?
それに、絶倫に性なる手って……。
分かってはいたけど、やっぱりやる事はやってるんだ。
「お待たせしました。クリムゾンワインに今宵、龍帝、それとエール一樽です。」
「ありがと。後はこっちでやるからみんなは休んでいいよ。」
「かしこまりました。」
メイド達を休ませた私はまず今宵の瓶に手を伸ばす。
この今宵と龍帝というのは東方の方で栽培されてる米を使ったタイプのお酒ですごく美味しい。
勇者もよく好んで飲んでた。
「ふむふむ。レントはATKが1番高いのか。あー、魔力操作と魔法スキルのLVが低いのが問題かな〜。せめて6は欲しいな。となると、もう少し魔法の訓練を増やしたほうがいいかな? でも、近接もまだまだ伸び代があるし、悩ましいなぁ〜。楽しいなぁ〜。それにこのスキル。いざという時に火力を上げられる重唱もあるし、本当に面白いよ。」
と、もう無くなっちゃった。
次は何にしようかな。
よし。
クリムゾンワインにしよ。
クリムゾンワインはこの色が特に良いよね。
「セフィアはちょっとDEFが低いかな。でも、全体的に高水準だし、魔法スキルも双剣もいい感じに育ってる。バランスがいいね。」
つまみを一口。
「それはそれとして、何この家庭的スキルの山は? 料理人に掃除、洗濯、LVは低いけど裁縫スキル。値切りもある。他にもいくつかあるし、その上であの可愛さにスタイルで狸人の星、と。神に愛されてるとしか思えないよ。…………まあ、本当に神と親しかったけどさ。セフィアはこれまで通り全体の底上げかな。後は決め手となる技をいくつか覚えさせたほうがいいかも。」
次はエール。
定番だけどこれが意外と侮れない。
「そしてアカネ。あのユースティアの娘で一部の貴族の間で話題になっていた『炎髪の賢姫』か。生まれながらにして炎魔法を覚えていて物覚えがよく四則演算をあっという間にマスターした天才。まさか冤罪の後に奴隷としてどこかの商人に買われたって話だったけど、それが巡り巡ってこんなところに来てるなんて、何があるかわからないもんだね。でも、天才と呼ばれるだけあってステータスも高くていい。魔法もLVが高いね。」
その後もお酒を飲みつつみんなのステータスを見ていく。
みんなステータスが高く、レント、セフィア、リリン、アカネに至ってはAランクでも十分に通用するほどのステータスを誇っている。
ユキノは一回りステータスが低いけど、それでも十分優秀な部類だ。
本当に、優秀な子ばかり集まっているよ。
でも、不思議なのはレントとユウキだ。
このステータスの割に戦闘技術が拙く、ステータスを活かしきれていない。
まるで、戦いそのものと無縁の場所で育ったかのよう。
ま、どうでもいいことだけどね。
そんなこと言ったら勇者なんてみんなそうだし、街育ちで裕福な家ならそう珍しいこともない。
と、ここでお酒がなくなっていることに気づく。
もう今夜も遅いし、そろそろ寝ようかな。
しかし、リリンのあの髪の色に、あの顔立ち………まさかね。
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