第530話 アカネの勝ちだ。的なお話
さーて、次は何をやろうかな?
ルーレット……確かあれって最も確率が高い赤と黒でも0と00があって勝率が50%を超えないってなんかで見たな。
まあ、少し賭けるくらいは、いいよね?
取り敢えず、赤に5枚だ。
ここで赤に賭けなくてどうすんだって話だよね。
結果は黒の35だった。
まあ、2択だし次は当たるよね?
というわけでもう一度赤!
……………黒の13。
黒猫の数字だね。
個人的には好きだけど、今来られても困るんだけど。
……はっ! ならば、この数字も当たるんじゃね?
「赤の21に5枚!」
来い、来い、来い、来い、来い!
「黒の28です。」
来ねーのかよ!
というかまた黒なんだけど!?
だったら黒に5枚だ!
ここでやめたら何かに負ける気がする。
勝負!
「赤の1です。」
ぐはっ!
なんか、もう、いいや。
4連敗だし、勝ち越すまでにどれだけお金と時間がかかるかわからないし、既に20枚もスってるから、やめた方がいいよね。
ちなみに、アカネは1回、ルリエは2回、ルナは1回、そしてアデラードさんも1回当てていた。
くっ!
次の競技では勝つし。
次はレース競技だ。
カインではラビットレースだったが、ここではチャージラビットだけではなく、もっと大きい魔物でもやっている。
ホーンファングの上位種のグレートファングとか、ロックディアー、エレクトロブル、ドライブゴート、ポイゾナスリザード、キャット・ザ・リッパーなんかが走る。
他にもいるらしいが次に走るのはそんな感じかな。
というか、なんだかんだで結局依頼を受けることのなかったポイゾナスリザードだが、まさかこんな形で見ることになるとは。
ポイゾナスリザードは紫色の鱗を持つ大型のトカゲで舌をシューシューと出している。
それってトカゲもするものなの?
鱗の艶は悪いな。
うちのレイダさんのとは大違いだ。←自慢気。
「みんなはどうする? どれに賭ける?」
アデラードさんが聞いてきたのでみんな自分が賭ける魔物を答えていく。
「そうだな……やっぱり狼系だしグレートファングかな。」
「私はランクが高いエレクトロブルだと思います。」
「やっぱりここは猫のしなやかさを持つキャット・ザ・リッパーでしょ。」
「ドライブゴート、あたりが、勝つと、思う。」
「むむむ、残ってるのはリザードとディアーか。どれにしようかな。」
「別に被ってもいいと思うんですけど。」
「いや、ここはやっぱりみんな違う方が楽しめると思うし、決めた。ポイゾナスリザードにしよう。」
みんな同じ額を賭けようということで10枚のチップをグレートファングに賭ける。
「さあ、次のレースはこちら。グレートファング、ロックディアー、エレクトロブル、キャット・ザ・リッパー、ドライブゴート、ポイゾナスリザードだ。当レースは魔物が競うもの。ならば、魔物らしさも見せるべき! というわけで戦闘も含め、魔物が持つ特性を存分に発揮してもらいましょう!」
マジでか。
そんなの毒持ちのリザードとか、Bランクの牛が強いに決まってる。
俺のファングなんて立派な角なだけのただの狼だぞ。
それでどうしろってんだよ。
「それでは、レーススタート!」
始まってしまった。
賭け直すことも出来ず、ただ祈るのみか。
「おーっと、グレートファングがいきなりロックディアーに噛みついた! そんなにお腹が空いていたかー!? ロックディアーが死亡により脱落し、グレートファングは食事に夢中で実質脱落状態だ!」
終わった。
お食事中なファングが走る理由なんかないし、もう負けだよ。
「そんなグレートファングは見向きもせずに抜きん出たのはポイゾナスリザードだ。地面を這う独特の走法を駆使してどんどん加速する! そのポイゾナスリザードの後を追うのはキャット・ザ・リッパーにドライブゴート。エレクトロブルは僅かに遅れてるがまだまだ巻き返せる! エレクトロブルは初速が遅いが最高速度はかなりのもの。前を走る3匹はどれだけ引き離せるか!?」
実況が白熱しており、それに呼応するようにヒートアップする他の客とみんな。
俺は未だお食事中なファングを見て溜息を吐くしかない。
……………………………あ、お腹が膨れたみたいで寝だしたよ。
レースも丁度終わったしタイミング的にはピッタリだ。
何を競ってるんだか……。
デッドヒートを繰り広げ、見事に勝利を掴んだのはキャット・ザ・リッパー。
つまりはアカネの勝ちだ。
「どんまい。」
「………魔物らしさを見せるのはいいけど、ここまでリアルじゃなくてもいいと思う。」
「………そうね。」
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