第526話 当たり前みたいになってるんだから。的なお話
まったり、のんびり。
セフィアに膝枕をした後にリリン、ルリエと膝枕をしていく。
申し訳なさも既に無くなっており、今はこののんびりとした時間を満喫していた。
「なんかいいね。こういうの。」
「そうだな。」
「すー。すー。」
「あ、ルリエちゃん寝ちゃったね。」
「ああ。と、リリンもか。」
「本当だ。」
寝ちゃったルリエの頭を撫でながらのんびり。
◇
んぅ………あれ?
いつの間にか俺も寝てたみたいだ。
「ふわぁ〜。あぁ。セフィアも寝ちゃってるな。ふふっ。気持ち良さそうに寝てる。」
こういう光景を見ると、心温まるというか、愛おしいと、そう感じる。
絶対に護りたい。
自然とそう思える。
「っ!?」
こ、この、圧迫感は……
「え、な、なに……?」
「うぅ………。」
「これは……?」
セフィアは跳ね起き、ルリエは夢が悪夢になったのか呻き、そしてリリンは顔を顰めドアの方を見た。
「やっ。遊びに来たよー。」
「アデラードさん……いきなり、なんですか……?」
結構キツイ。
今もアデラードさんは殺気を放っているのか、背中には汗が流れ、口の中が渇いてくる。
「ん? 前に言ったよね。定期的にやって精神を鍛えるって。」
「言いました、けど。でも、タイミングを、考えてください。さっきまで、みんな、寝てたんですよ。」
「そっか。それはごめんねー。」
と、ここで圧迫感が消える。
「そ、それで、今日は何の用で来たんですか?」
「ん? 特になにも? ただ単にレントに会いたかったから。」
「仕事はいいんですか?」
「大丈夫。ちゃんと今日の分は終わらせてあるから。」
「そうですか。」
「あれ? そういえばアレクシア達は?」
「ああ。シアはルナが絵を描きにいくっていうからそれについて行ってますよ。ユキノもシアと一緒で、蒼井がショッピングしたいって言ってレイダさんが連れてかれてそれを心配したアカネがついて行きました。」
「じゃあ、レント達は?」
「宿でのんびりしてました。凄く穏やかな時間を過ごしてたんですよね〜。まあ、邪魔されましたけど。」
「うっ……それは、ごめん。」
「まあ、それは別にいいですけど。で、やっぱり今日も飲むんですか?」
「もちろん!」
「でも、明日はルリエ達と遊びに……まあ、デートに行こうと思ってますから、あんまり遅くなるのは困りますよ?」
「え!? 羨ましい! 私も一緒に行っていい?」
「ダメです。これはしばらく依頼で会えないからその分の埋め合わせみたいなものですから。」
「まあまあ。別に一緒でもいいじゃないかな?」
「でも、絶対噂になるし、そうなるとお互いにあんまり良くないと思う。指名依頼に関しても、アデラードさんの依怙贔屓みたいに思われるかもだし、それ以外でも良く思われないと思うし。」
「それは……。」
「そんなの今更。」
リリンに言われてみれば、確かにその通りだ。
こうしてしょっちゅう飲みに来てるし、昨日だってアデラードさんの家に泊まったわけだしな。
「………確かに。はぁ。分かりました。一緒に行くのはいいですけど、表向きはシアと遊びついでって事にしてくださいね。」
「うん!」
そうこうしているうちに蒼井達も、シア達も帰って来てアデラードさんに普通に挨拶をして、そのまま夕食、酒盛りといういつもの光景へと移行した。
うーむ。
これはリリンの言う通り、本当に今更だったな。
だってもう既に、こうしているのが当たり前みたいになってるんだから。
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