五百話突破記念特別編(3)
「あ、レントです。ちゃんと食べてるですか?」
「ええ、まあ。クレアさんほどじゃないですけど。」
この世界に来てからというもの、前よりも食うようになったんだけど、とてもじゃないけどクレアさんには勝てそうにない。
というか、この小さな身体のどこに入っていくんだ?
「あ、ここにいたんだ、レント……って、クレア様?」
「あ、こんな格好で失礼するです。アデラード様。」
「すみません、クレア様。貴女に様付けで呼ばれるのは大変心苦しいのでおやめいただけませんか?」
「何を言うのですか。アデラード様を呼び捨てにするのなど、それこそ失礼にあたるです。」
なんでお互いに敬語で様付けなんだ……。
この2人はどういう関係なんだ?
どちらもギルドマスターという立場くらいしか共通点が浮かばないんだけど……。
「こんなところにいたんですね、アデル。アデルの好きなお酒があったので一緒に……。」
「あ、エリーナさんもお久しぶりです。」
「お、お久しぶりです、クレア様。」
「そんなかしこまった言い方はやめて下さいです。気軽にクレアと呼んで欲しいのです。」
更に増えたよ……
クレアさんは元から喋り方が丁寧だけど、だからって気軽になんて言い方は少し変だろう。
本当に、この3人の関係性が分からない。
というか、なんかややこしいことになりそうだしここ離れちゃダメかな?
というかいいよね。
こう、新しい料理を取りに行くとか言えばいいよね。
よし、そうしよう。
「あ、ごめんなさい、レントさん。挨拶もまだなのに話し込んでしまって。」
逃げられなかった。
まあ、いい。
だったら関係性を聞こうじゃないか。
だって気になるし。
「あの、3人はどういう関係なんですか?」
「クレア様は一時期アデルに師事していたことがあったんですよ。といっても、基礎的な事でひと月ほどですけど。それは私もおなじですから、関係としてはアデルが先生、私が姉弟子、クレア様が妹弟子ということになります。」
「そうなんですか……あれ? じゃあなんで2人は様付けなんです?」
「それは彼女が神のけ…ふむっ!」
「はーい、そこまでー。それ以上は禁句なのよー。」
「あれ? ポーション売りの人?」
「お久しぶりー。」
「ルーニエ様!?」
「エリーナも久しぶりー。」
「様? えっと、どういう人なんですか?」
「あ、その、この人は冒険者ギルドの……「私はクレアの友達だよー。特技はポーション作りー。」……だそうです。」
「はぁ、そうなんですか。」
冒険者ギルドとか言ってたんですけど……それでクレアさんの友達って、結構な地位にいそうなんだけど。
なんでそんな人がポーションの路上販売なんてしてたんだ?
まあ、それは隠しときたいようだから追求するつもりはないけどさ。
じゃなきゃ口を挟む理由なんてないだろうから。
それはそれとして、これってパーティーなんだよね?
なんでこんなにすごい人たちに囲まれてるんだ?
「楽しんでますか、蓮斗さん?」
「アリシアさん……。」
更にすごい人が増えた。
「あ、ああああ、アリシア様!? な、ななな、なんでこんにゃとこりょに!?」
エリーナさんが面白い反応をしている。
あの冷静沈着で出来る女感があるエリーナさんのこんな反応は珍しい。
「えーと、ここではちょっと心臓の心配をしないといけない人がいるようなのであちらに行きましょう。」
確かにエリーナさんの反応が過剰だ。
これを見たら心臓とかの心配をするのも納得だ。
でも神様降臨となればこうなるのも不思議じゃない。
ウチの連中はその辺の感覚が麻痺してるけど。
「楽しんでいますか?」
「えーと、それなりには。すごい人が集まってきて驚きましたけど。」
「あははは。楽しんでいるのなら何よりです。」
「ところで、レイカーさんは今どうしてるんです? ちょっと気になってるんですけど。」
「ああ。彼女ならローション滑り台で滑り降りた後ここに向かってローションまみれの廊下と階段を進んでいるでしょう。」
「なんでそんな……その、いやらしい事を?」
「この前特番でそういうのをやっていたので。」
………あったね、そんなの。
全星感謝祭、今もやってるのか〜。
「と、それよりも。実は蓮斗さんに会わせたい人がいるので呼びに来たんです。」
「会わせたい人?」
「はい。」
「お兄〜〜〜ちゃ〜〜〜〜ん!!!」
「ごふぁっ!?」
背中がすごい痛い!
なに!?
なんなの!?
っていうか、お兄ちゃんって、まさか!?
「ふへへ〜、お兄ちゃんのかほりだ〜。くんかくんか。はぁ、はぁ。あ、やば、鼻血出そう。」
…………多分妹だ。
変態にジョブチェンジしてる気がするが、多分妹だ。
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