第506話 うそでしょ……的なお話

アデラードさんは合成魔法を教えにルリエ達のところへと向かった。

合成魔法って結構大変なんだよね。

俺もセフィアとシアの2人とは出来るけど、出来るようになるまでに何時間も練習したから。

合成魔法は発動のタイミングと使用する魔法の威力とかを合わせないといけない。

魔法の威力なら多少は差が出てもいいけど、タイミングは合わせないとダメ。

それが大変なのだ。


と、ルリエ達が気になるけど、だからって自分の方をおろそかにしてはいけない。

心の中で小学生かとツッコんだんだからちゃんとやらないと本当に小学生みたいになってしまう。


確か水魔法は地面の水を魔力で動かすイメージで、だっけ。

ちょっと汚いけど、地面に手をつけて。

魔力で動かす………動かす………動かす………はっ!


ーーバシャッ!


「わぷっ!」


どんな感じで魔力を流せばいいのかわからなかったからとりあえず気合を入れてやった。

そしたら、魔力で水が爆ぜた。

きちゃない。


「あははははは! 何やってんのよ!」

「うっさい!」


蒼井の奴がバカにしてくる。

にゃろー。

今に見てろー。

魔力を放つ方向を絞ってやればこの通り。

手でやる水鉄砲よりも高威力の水が撃ちだされ、蒼井に襲いかかる。


「きゃっ! 何すんのよ!」


蒼井が手を斜め前に突き出すと何故かその延長線上の地面が軽く爆ぜて水がこっちの方に飛んでくる。

そうなると必然的に俺が泥水で汚れるというわけで。


「うわっ! このっ!」


水の掛け合いを続けること5分。

途中で地面に手をつけるのが面倒になって少しずつ手が地面から離れていき、いつの間にか中腰どころか普通に立って水を掛けてた。

そこまで出来るようになってるっていうのは、つまりはそういうこと。

無事に水魔法の習得が出来ました。

遊んでいたら魔法を覚えたっていうのは多分世界初ではないだろうか。


「ちょっとちょっと、何遊んでんの!」

「あ、アデラードさん。いや、失敗したのを馬鹿にされて、ムカついて水を掛けてたらなんか、習得しちゃいました。」

「はい? え、本当に?」

「はい。ほら、この通り。」


手のひらをかざして水を集め、それを射出する。

狙いは若干甘く、的の端っこの方を掠めるだけだったが、間違いなく水魔法を放っている。


「うそー。」

「あ、私も覚えました。」

「は?」


蒼井が手を振り下ろす。

すると少し離れたところがバシャンッ! って結構な勢いで水が爆ぜる。


「うそでしょ………ユニーク属性で、これまで何人もの人が挑み、諦めたのに、それを、遊んで覚えた……?」


ユニークを遊んで覚えた。

そんな話を俺も聞けば嘘だろ! と、思うだろう。


「あはは………えっと、それじゃ、次はそのスキルの、練習でも、しててもらおう、かな。」

「あ、はい。」


半ば茫然自失といった感じで微妙な表情で告げるとセフィア達の元へと向かっていった。

悪いことしちゃったな………………蒼井が。

俺なんて普通の属性だし関係ないでしょ。


さて、水魔法の練習だが。

何をやろうかね。

魔法に大事なのはイメージで、イメージ次第ではなんでも出来るというのは前にアデラードさんが見せてくれた。

イメージか。

とりあえず、火魔法と同じように魔力を変換して水を作るところからやろうか。

よっ!


「…………なんだこれ。思ってるよりも魔力のロスが大きい。」


確かに水は生まれたけど、出来てる水の量が少ない。

これはスキルレベルの差………じゃないだろうな。

単純な技量不足。

もっと練習しないとな。

火魔法だと自分の手を焼いてしまうから出来なかったアレ。

しかし、今回の水は自分の手を焼くことはない。

だから、もっと頑張んないと。

あの、手から魔法の剣を出すヤツを覚えるために。

ネ◯ま! でネ◯君やエヴ○ちゃんがやっていたの。

アレかっこいいんだよね。

ああいうのを出来るようになるためにも、頑張るぞー!

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