第492話 ここはあえて。的なお話
アデラードさんにも帰ってもらってみんなにはゆっくり休んでほしいけど、言いにくいな。
あ、でもその前に。
「みんなのケアって何をしたらいいですかね?」
こういうことには詳しいだろうからね。
ちなみに、シアとルナのトラウマの時のは別だ。
あれは本気の恐怖で今回のはスキルによるものだから同じやり方でいいとは思えない。
というか、恐竜とそうなんども遭遇してたまるか。
「ありきたりだけど、リラックスした状態でのんびりと過ごす。好きなことをする。一番安心できる状態で過ごす、とかかな。あ………あ、あとは……その、…………を、する、とか。」
「え、なんですか? 最後の方がよく聞こえなかったんですけど。」
「だから、…な……を、する、だよ。」
「はい? もう一回いいですか?」
何故か顔を赤くしてる。
なんで?
そんな話題じゃないよね?
とか思ってたらこっちに近寄って来て背伸びをする。
多分耳打ちしようとしてるんだろう。
だが悲しいかなアデラードさんの低身長では耳に届かなかった。
「か、屈んでよ……。」
赤面しているせいか、すごくかわいいく見える。
こんな顔されたら屈まざるをえない。
「だから、その、Hなことをするんだよ。」
「はあっ!? いきなり何言ってんすか!?」
「わ、私じゃないよ! というか、そんな事した事もないよ!」
アデラードさんは処女でした。
400年ものの超ヴィンテージ。
「そうじゃなくて、他の冒険者が死にそうな目にあった時は娼館に行くっていうんだよ。そういうことをしてると生きてるって実感するとか。」
なるほど。
チラリとみんなを見る。
残念ながら3人はそういう関係じゃないんだよな。
いや、そういうことができなくて残念ってことじゃないよ。
ただ単にその手段は使えないって意味で。
嘘じゃないよ。
ほんとだよ。
「それは無理ですね。じゃあ、まあ、のんびりと過ごしてもらいます。」
「そ、それがいいよ。うん。健全だ。」
まだ赤面してる。
でも残念ながらうち6人とは既にそういう関係なので全然健全じゃない。
「それでアデラードさんはどうするんですか?」
「ふぇ!? わ、私も混ぜてくれるの!? れ、レントがいいなら、私は……」
「なんの話!? そうじゃなくて、これからどうするかってことですよ。レックスが結構近場で出たからその辺の調査とか。」
「え、あ、あー、うん。そ、そうだね。それをしないとだよね。で、でもさ、はとこの様子とか気になるし今日くらいは仕事しなくてもいいよね?」
なんか、チラッチラッとこっちを見てくるんだけど。
これからはあれか。
さっきHな話題になっちゃったから意識しちゃってるとかそういうの。
でもまだアデラードさんとそういう関係になる気はない。
というか、この見た目だともう少し覚悟をする時間が欲しい。
多分140満たないと思うし。
「いや、それは流石にまずいんでしょ。レックスなんていうヤバい奴が結構近くで出たんですよ。何故そんなことになったのか調査とかした方がいいはずですし、もしもなんらかの異常があるんだったら急がないと。被害が出てからじゃ遅いですし。」
「うっ、それは、そうだけど……でも……」
またこっちをチラチラと見る。
一緒にいたいと目が語ってる気がする。
でもここはあえて。
「大丈夫ですよ。シアの面倒もちゃんと見ますから。」
「そういうことじゃないんだけど……はぁ。分かった。じゃあ、任せるね。」
アデラードさんは報告のためにギルドへと帰っていった。
悪いことをしたかな? と思わなくもないけど、放置できない問題なのだから仕方がない。
さて。
報告はアデラードさんに任せて俺達は昼食でも食べようかな。
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