第471話 千客万来なんだけど。的なお話 その2

うぅ。

レイカーさんが来たということはつまりアリシアさんを連れに来たってことだよね。

ということはアリシアさんのとお喋りは終了か。


「あ、すみません、レントさん。」

「いえ、気にしてませんので。」


もう慣れたよ。

慣れるしかないともいうけど。


「あ、アリシア様。ズルいですよ。せっかく時間が少し取れたのに先に行くなんて。」

「でも、お土産買いに行くって言ったのはレイカーでしょ?」

「アリシア様だっていい案だって言ってたじゃないですか!」

「ええ。でも待っていてくださいって言われませんでしたし。」

「だからって待つのが普通じゃないですか!」

「それに蓮斗さんと2人っきりで話したかったですし。あなたのお陰で楽しめました。ありがとうございます。」

「あ、それはどういたしまして……ってそういうことじゃなくてですね!」


レイカーさん、からかわれてるな〜。

普段からこんな感じなのかな?


「ん……ふぁ………あれ、ありしあさんがいる……。」


セフィアがアリシアさんとレイカーさんの漫才で起きたようだけど、ナニコレ。

可愛すぎる!

声が拙いというか、寝ぼけているからか舌ったらずな感じがもう、ね。

ストライクゾーンをガッツリと抉ってきてる!


思わず抱きしめてしまった。


「れんと? どうしたの?」

「いや、可愛かったからつい。もう少しこうしてていい?」

「うん。いいよ〜。」


はぁ〜あったかい。

セフィアからいい匂いがするし、いつまででもこうしていられるよ。

なんだか安心してきて、眠く………って、やばいやばい。

寝てしまうところだったよ。


「もういいの?」

「うん。このままだと寝ちゃいそうだっからね。」

「そっか。ところで、これはどういう状況なのかな?」


どうやら抱きついている間に完全に目が覚めたようで、漫才をしていたアリシアさんとレイカーさんの事が気になったようだ。


「ああ、うん。いつものように、レイダさんにお呪いをかけにきたんだけどね、なんかアリシアさんがレイカーさんを置いてきちゃったみたいでその辺をいじってる、かな。」

「そうなんだ。」


もうしばらくこの兼ね合いを眺めていたい気もするが、そろそろ声を掛けよ……


「レントさん、またまたお客様です。」


………また来たよ。

本当今日はなんなんだろう。


「よう。ちょっとい……「帰れ。」」


馬鹿だったので一言かけてドアを閉める。


「ちょ、ちょっと待てよ。いきなり帰れはないだろ!」


リリン達はまだ安らかに眠っているのでここで騒がれるのは良くない。

だから仕方なくドアを開けて応対する。


「何の用だ? 3文字以内で答えろ。」

「3文字って少な過ぎだろ!」

「3文字超えたから帰れば?」

「なんでだよ!? ったく………この間ので結構儲けたからどっかいい店知らねーかなって思ってよ。」

「朝から女遊びか? 引くわ〜。」

「そんなんじゃねーから! 武器屋だよ! 武器を新調したいんだよ!」


ユキノで遊ぶのも面白いけど、やっぱりこいつの方がおもろいわ。


「それならカインの……「なんでカイン!? 帰れって!?」 冗談だよ。取り敢えずグラハム武具店にでも行けば? ギルド公認店だから安心だし。」

「そっか。ありがとな。今度一緒にダンジョンに潜ろうぜ。」

「前向きに検討させていただきます。」

「それダメなやつ!」


最後まで騒がしい奴だったな。

さて、今度こそ落ち着いて…………………………うん。

流石にもう来ないよね。


「すみません、レントさん。またまたまたお客様です。」


本当に千客万来なんだけど。

どうなってんの!?

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