第380話 ゴロンと的なお話
「ではまず迷賊だが、アレクシア達が捕縛したのが23人。そのうち8人が飢餓及び脱水によって死亡しており地上に連れてくることが出来たのが15人だ。その15人の内首領が30万、オークキングを使役していた男がその犯行の凶悪性や将来的にもっと大きな被害が出てた可能性を考えて100万、その他の迷賊が10万リム、計260万リムが太守から支払われる。」
太守ってのはなんだっけ?
なんかで読んだ気がするんだが……まあ、この街のお偉いさんでいいか。
関わることはないだろうし。
「そしてこの金だが討伐隊の連中が自分達は連れてきただけだからと1割でいいという申し出があった。本来は受け取るべきではないが迷賊の食費などの分としてそれだけ要求させてもらうと。そしてギルドから迷賊の危険性と若い冒険者が被害に遭わずに済んだ事を考えてアレクシア達に100万、討伐隊に1人あたり5万払うことにした。これでいいのならこちらの書類にサインしてくれ。太守からの報酬が全部欲しいというのならそこの、えーと、名前なんだっけ?」
「ルーカスですよ! 黒狼の爪牙のリーダーの、Bランク冒険者ルーカスです!」
「あー、そんな名前なのか。ま、とにかくそこのルーカス君に交渉してくれ。」
「いえ、不満は特に無いんで。」
まあ、討伐隊に渡すお金が少ない気がするがお金は必要だし素直に受け取ろう。
「じゃ、報酬に関してはこれでいいかな。ルーファス君はもう帰っていいよ。」
「ルーカスです!」
「あ、レント君はちょっと残っててね。」
名前を間違えられたおっさんが退室していき、残されたのは俺とシアだ。
一体なんなんだろう?
あ、キリッとした感じが若干和らいでる。
「さて、それじゃレント君には危険行為に対する罰金と迷惑料を払ってもらうよ。」
「罰金?」
「ダンジョンの床を抜いたと聞いたよ。そんな危ない事したんだから罰金くらい払ってもらうに決まってるでしょ。それと迷惑料は君の魔法で迷惑かけた冒険者に対しての物になるから。」
うっ!
確かにそれは払わないといけないな。
というわけでアデラードさんに言われた金額である罰金20万、迷惑料10万の計30万を支払った。
シアが自分のせいなんだから自分も払うと言ってくれたが断った。
あれは俺が自分で決めて行った事だし、シアがやれって言ったわけでもない。
何より、シアを助けるための行為を誰かのせいにしたくなかった。
あれは俺が助けたいと思ってやった事だから。
「これで用事は全て済んだかな。もう帰ってもらっていいんだけど、その前にアレクシアって今どこに住んでるか教えて? 色々話がしたいし。」
「今は宿レイランよ。」
「あそこかー。それじゃ今日の夜にでも行くから。」
「今日!?」
「うん。じゃ、そういう事で。」
いきなりだな。
というか、ギルマスとしての仕事は大丈夫なのだろうか?
色々と大変だと思うんだけど……まあ、大丈夫だから言ってるのだろう。
それに俺が心配する事でもないな。
みんなの元に戻ると既に依頼は決めていたようだ。
今回みんなが選んだのがヘビィコングにロックバイソンという牛型のCランクの魔物にアンゴルモアウサギというCランク上位の魔物だそうだ。
ロックバイソンとアンゴルモアウサギは初めてだな。
大丈夫かな?
というか、アンゴルモアウサギってなんかアンゴラウサギみたいな名前だな。
ひょっとして毛むくじゃらの可愛い系なのかな?
◇
さっきまでは可愛い系なのかと思ってた。
でも実物は全然違った。
確かに毛むくじゃらだが、顔は般若の面のように厳ついしツノも生えてるしでかくて3メートルくらいある上に後ろ足の筋肉がすごい。
あ、ちょっとヤバイかも……
「ギャウウウウウウウ!!」
「ウサギは鳴かないはずだろ!」
突進してきたウサギを避けつつついツッコんでしまった。
ズザザザーーーってやりながら止まったウサギはそこから跳びあがり一回転してかかと落としをしてきた。
それも躱したが振り下ろしたかかとで地面が凹んでいる。
結構、強いんだ……
あれ、当たったらかなりヤバイよね?
でも、当たらなければ問題は……って、うおっ!?
危なっ!
凹んでいた地面を眺めていたら跳び蹴りをして来ててそれを慌てて避けた。
というか、なんで俺ばっかり狙われてるんだろう?
他にもいっぱいいるのに……
まあ、それはいいや。
これまでの攻撃で目が慣れたし、さっさと倒そう。
攻撃が鋭いから油断したらやられるかもしれないし、早期決着だ。
飛び回し蹴りをして来たウサギの足元をスライディングの要領で抜けていき、後ろから一閃して首を飛ばす。
ゴロンと転がってきた生首が恐い!
そそくさと回収して次の獲物を探しに行く。
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