第381話 生半て…的なお話
ヘビィコングは難なく倒せた。
しかし残りのロックバイソンが見当たらないままお昼の時間になった。
腹が減っては戦はできぬという事でお昼を食べる為にセフィアの言う食材を出しているうちにふと気づく。
蟹が、あまり残ってない。
ヤバくね?
蟹ないとかまじヤバくね?
日本人みんな大好き蟹さんなのに……よし。
「ちょっと、蟹探してくる。」
「は? ってちょっと待ってよレント! いきなり何言ってんの?」
「セフィアの言う通り。」
「そうですよ。ちゃんと依頼を探してからの方が得じゃないですか。」
「そっち!? って、いやいや、4人とも何を言っているのだ? 何故いきなり蟹の話になっておるのだ!?」
「え、だって蟹が少なくなってるから。」
「意味がわからん!」
意味がわからんというユキノと頭にはてなマークを浮かべているシア達に理由を説明する。
「え、あれ食べれるの?」
「食べれるよ。というか、かなり美味い。ギルマスもめっちゃ食ってたし。」
「は? ギルマス? どういうこと?」
「いや、前にリバーサイドウォールクラブを沢山狩った時に普段世話になってるからってセラさん誘ったらギルマスもついてきた。で、そん時にめっちゃ食ってた。」
「へ、へー。そうなんだ。」
「ま、そんなこんながあったし、その後もちょくちょく食べてたから在庫が少なくなっててな。だから蟹が必要なんだよ。」
「いや、だからの意味がわからないんだけど……」
しかし、ルリエの言うことにも一理ある。
というか、一利か。
それなら仕方ない、かな。
ロックバイソンを探す為に川に行くかもだけど、その時に見かけて倒しても仕方ないということだよね。
生き物なら水は必要不可欠だから川の方を探すのは何もおかしなことじゃないし、その時に見かけた魔物を倒すのも冒険者としては不自然じゃないよね。
というわけで午後は川の方も探そう。
蟹に遭遇すればそれは運が良かったということでいいよね。
セフィア達の作ったお昼ご飯を食べた後、再びロックバイソン探しに戻る。
蟹はもったいないから食べてない。
こういうのをエリクサー症候群って言うんだっけ?
ちょっと違うか。
「そんじゃ、川の方でも探すか。いやいや、別に蟹を狙ってるわけじゃないよ。生き物なら水は必要不可欠だしそこならいるかもじゃん。蟹がいれば嬉しいけど、別に狙ってないから………って、何その目?」
なんか、シアとルナ、ユキノから白い目で見られた。
解せぬ。
それでもセフィア達は俺の石を汲み取ってくれて川の方を探索してくれる。
本当にいい嫁だ。
セフィア達も食べたいからという可能性もあるけどね。
「あ、いたぞ!」
「蟹か!?」
「牛だ、バカ者!」
「ちっ、牛かよ。」
「……………受けた依頼の事、考えろよ。」
川の周辺を探索してから30分くらいした時にユキノがロックバイソンを見つけた。
つい、蟹かと言ったらユキノに怒られてしまった。
ふん。
今度蟹を食った時に驚き後悔しても知らないからな。
ロックバイソンは岩のようにゴツゴツした体を持つ牛の魔物。
魔法能力は無いようだけど、逞しい身体から繰り出される突進の破壊力は凄まじく、生半(なまなか)な武器では歯が立たないそうだ。
この辺はユキノ情報だ。
というか、生半て……
とはいえ、生半な武器は歯が立たないというだけあってユキノが牽制目的に放った手裏剣をロックバイソンは全く意に介さないで普通に突進してきてる。
狙いは………ルリエだ。
よし、殺そう!
無事にルリエが躱したのを確認してから、あんまり使ってない草結びを使う。
しかし、これもなんの抵抗もないかのように引きちぎり方向転換する牛。
ちっ!
やっぱ、使い勝手が悪い!
次のターゲットはアカネだ。
ん?
ひょっとして赤い髪だから?
赤いのに反応するのは寧ろ牛よりも人間の方だって聞いたことあるぞ。
なのになんで赤いのを狙ってんだよ!
異世界だからか!?
とはいえ、アカネなら安心だな。
突進に合わせてジャンプして躱しつつ上から細剣で4連突きを放った。
それを受けて呻き、怯む牛に接近したセフィアが首を斬り落とした。
これで依頼完了か。
「さて、後は蟹を探すだけだな。」
「なんでそうなるのだ!?」
ユキノにツッコまれたし、仕方ないから帰るか。
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