第375話 ボロ雑巾の山的なお話

変な人との邂逅があったがそれは置いといて。

貰ったポーションの効果を確認するためにギルドに向かおうとした所で悪意を感知する。

あー。

やっぱり来たか。


「へへっ。見てたぜー。」


何を? なんて聞かなくてもわかるか。

部位欠損を治せるポーションなんてそう簡単に手に入れられるものじゃない。

味は置いとくが。

それを俺みたいな普通の奴がタダで手に入れたんだから欲が出て奪おうとでも思ったのだろう。

でも、ここはとりあえずボケとこ。


「み、見てたって、ストーカー?」

「んなわけあるか!! ポーションだよ! てめぇがさっき手に入れてた奴だよ!」

「あ、やっぱり? で、あんたらはそれを力尽くで手に入れようってか? 高いもんなー、これ。味のデメリットはあるが、それでも結構な値段になるからな。」

「へへっ。分かってんじゃねぇか。なら、てめぇはどうすればいいかもう分かるよな。痛い目見たくなかったら………って、てめぇは一体何をしてんだ?」

「え、いや、だってこのまま持ってたら割れちゃうかもしれないじゃん。だから仕舞ってんだよ。」

「この人数で勝てると思ってんのかよ?」

「だって、強そうに見えないから、なっ!」

「なにっ!?」


後ろから襲おうとしてた奴がいたからストレージから出した整備を終えたばかりのウルなんとかの剣で防ぐ。

悪意が近づいて来ていて、それが膨れ上がれば襲おうとしてるなんて丸わかりだからな。


「なぜ分かった!?」

「さあ、なんででしょう、ねっ!」


後ろにいるやつに後ろ蹴りを入れる。


「てめぇ!?」


そこからは圧倒的だった……もちろん俺の。

襲いかかってくるやつをちぎって〜は投げ、ちぎって〜は投げで、あっという間にボロ雑巾の山が出来た。

あ、ボロ雑巾といえば、クルトの馬鹿は元気にしてるかな?

今もフラれ続けてたりするのかね?


「さて、こいつらどうしようか? ま、放置でいいか。あー、無駄な時間使ってしまった。」


そう言いながら俺は裏路地を後にする。

そういえば、もうただのチンピラなんて敵じゃないな。

ヤクザとかそういう奴らはやっぱり怖いけど。



ギルドで鑑定して貰った後、宿に帰ってひたすらに爪楊枝を作っていたらセフィア達が帰って来た。


「ただいまー。」

「おかえりー。」

「今帰っ……ってなんだその爪楊枝の山は!?」


あー、そういえばユキノとかは爪楊枝作りについて知らなかったな。

でも、なんて説明しよう……ロードオブスキルマスターの事は説明できないし、どうしよう。

ま、暇つぶしって事でいいか。


「いや、手慰みに作ってたらスキル覚えたから暇つぶしがてらにやってただけだよ。」

「暇つぶし? アクセサリーを作ってたんじゃないの?」

「いや、前に貸してもらった所に行ったんだけど、忙しいみたいで借りられなかったんだよ。」

「そうなんだ。残念だったね。」

「まあな。あ、そういえば、こんなの貰った。」


そう言って謎の人から貰ったポーションを出していく。

効果も謎の人の言う通り骨折を治すし部位欠損にも効く。

ギルドで鑑定して貰ったから間違いない。

間違いは無いんだが……やっぱり納得がいかない。


「どうしたのこれ?」

「ポーション………オークソテー味の。」

「はい?」

「いや、実はな……」


帰って来たみんなに貰った経緯を説明すると呆れと驚きが入り混じった表情をした。

気持ちはよくわかります。


「変わった人もいるものね。でも、本当に効果あるの?」

「そう思って俺もギルドに鑑定して貰ったんだよ。その結果がこの鑑定書。」

「うわ……本当に効果ある。でも、あんまり使いたく無いわね。」

「そうだな。だからみんなも怪我しないように注意してくれよ。」

「望んで怪我するバカはいないわよ。」

「それもそうだな。それよりもみんなの方はどうだったんだ?」

「楽しかったよ。実はユキノちゃんがね……「わー! そ、それは言わないでくれと言ったではないか!」」

「え、何があったんだ?」

「レントも聞かないでくれ!」


みんなの方で何があったのかを聞いたら楽しそうに話してくれる。

うん。

楽しかったのなら何よりだよ。

そのまま夕食の時間も雑談に花を咲かせた。

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