第376話 赤ずきんシリーズ的なお話
昨日はポーションをもらったりチンピラをぶっ飛ばしたり爪楊枝を作ったりと決して有意義だったとは言い難いが、それでも嫁たちが楽しそうにしてたのは良かったと思う。
そんな翌日である今日は図書館に行こうと思う。
特に理由はないが、強いて言えばどんな本があるか興味があるといったところか。
後、シアとルナとのデートの時に見かけたから。
そんな事を朝食を食べながらみんなに話す。
ちなみに前にユキノが風邪をひいた時は司書さんに暇つぶしにいいものはないか聞いて持って来てもらっただけだから中には入っていない。
「図書館か〜、いいわね。私も行こうかしら。」
「あ、僕も行きたい。」
「興味ある。」
「シアにセフィア、リリンは行くと。みんなは?」
「私は……「あ、依頼は無しで。というか今日と明日はきっちり休むように。」…………………私も同行させていただきます。」
レイダさん……
随分と間があったな。
やっぱり行くつもりだったか。
「他のみんなは?」
「半数が行くようだし私も行かせてもらおうか。」
「わ、私も行く。」
「そうですねー、特にしたいこともないので私も行きます。」
「で、蒼井は留守番、と。」
「なんでよ! 私も行くわよ!」
「結局全員か。あ、蒼井はあんまし騒ぐなよ。他の人の迷惑になるから。」
「誰が騒ぐか!」
「あはは。」
というわけでルビーリンク全員で図書館に行きます。
◇
「それでは、入館料として5000リムいただきます。それと、貸し出しを希望する場合は別途料金として一冊につき1000リムいただきます。期間は10日になります。」
「分かりました。」
タダで貸し出ししている日本の図書館に慣れている身としては、高いと感じてしまうな。
それに違和感半端ないし。
「それじゃ、各自好きなように行動するってことで。」
みんなと別れて適当に本を探す。
しかし、かなりでかい図書館だな。
地方の図書館くらいあるな。
それのどこが大きいと思うかもだが、こっちの世界の本は高いし印刷技術も日本より劣っている。
それなのに日本の図書館と差がないのだからすごいと言っていいだろう。
でも、やっぱり貸し出しにお金がかかるのは違和感ある。
さて、どんなのがあるかな…………ん?
赤ずきん、赤ずきんレジェンド、赤ずきんΩ、赤ずきんオルタ、赤ずきんアドバンスetc,etc……なんだこれ!?
なんでこんなに赤ずきんあんだよ!?
ってか、赤ずきんだけじゃなくて他の童話もなんか変なのになっているのがある。
101人浦島太郎!? 多過ぎだろ! それ玉手箱足りるの?
不思議の国のアリス・ジェネシスって、なんか建国とかしてそうだな。
わらしべ業者………起業しちゃったよ!?
桃太郎戦記……随分とハードそうなタイトルだな。
3匹はちゃんと生きてるよね?
なんか、だんだん気になってきたよ。
とりあえず赤ずきんシリーズを全部持っていこう。
椅子に座って赤ずきんシリーズを読んでいるとどうやらみんなも読む本を決めたようでこっちに集まってきた。
「レントは何読んでるの?」
「赤ずきんΩ。ところでさ、なんでこんなにバリエーションがあるか知ってる? 赤ずきんは一つだけのはずなんだけど。」
「それはね、かつての勇者が広めたってのは知ってるよね?」
「ああ。」
「最初に広めた勇者以降の勇者が手を加えた話を作ったり、こっちの世界の人が変えたりしてたらいつの間にかここまで増えてたんだよ。ちなみに僕はオルタが好きかな。」
「私はレジェンド。」
「あ、私もレジェンドが好きです。」
「へー。俺は今んとこアドバンスかな。」
「なんの話してんの?」
「赤ずきん。」
「なんで赤ずきん?」
セフィア達と赤ずきん談義をしていると蒼井が割り込んできた。
なんで赤ずきんかと聞いてきたが、ここまであると話も膨らむというもの。
だからその説明をしよう。
あ、でもその前に論より証拠。
蒼井が加われるように一つ読んでもらおう。
これがいいかな。
レジェンドは泣けるから混ざりやすいだろう。
俺はなんとか堪えたけど。
「ま、それはこれを読んでから説明するよ。」
「? 赤ずきんなんて子供の頃に読んでるわよ……ってレジェンド? 何これ?」
「いいから読めよ。面白いから。」
その後は泣いた蒼井と集まったみんなと赤ずきん談義をしたり、途中でお昼を食べたり、他の童話シリーズを読んだりして過ごした。
個人的には金太郎・極と新編・赤ずきんが良かったな。
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