第345話 正式に仲間になった。的なお話

ユキノの風邪が治ってから3日経ちようやく仕事を再開する事に。

何故ならシアとルナ、レイダさん、アカネがユキノから風邪を引いたから。

多分うつったんだろうな。

というか、なんで蒼井は平気なんだ?

俺、セフィア、リリン、ルリエは加護から進化した恩恵の効果で状態異常の耐性が上がっているお陰で罹らなかったのだろうが、なんで蒼井は…………馬鹿だからかな?

馬鹿だからだろう。

ま、そんなわけで更に3日ほど休んだのだ。


「この度は、本当にすまなかった。」

「いやいや、ユキノのせいじゃないわよ。病気なんて罹る時は罹るし誰かのせいじゃないわよ。」

「しかし、タイミングから考えて皆にうつしたのは私だろう。」

「た、対策しなかった、私達にも、責任が、あるから、ユキノだけの、せいじゃ、ないよ。」

「そう気にすることでもないだろ。シアの言う通り、罹る時は罹るもんだろ。たとえ対策したとしても完璧に防げるものでもないし。それにみんなもう治ったんだ。今更どうこう言うことでもないだろう。」

「しかし!」

「まあまあ。そんなことよりも今日の仕事は何をするかの方が大事だろう。5人は病み上がりなわけだしな。」

「そうだね。とりあえず軽く出来るのの方がいいよね。」

「ちょっと待て!」

「まだ何かあるのか?」

「いや、まあ、あると言えばある……」

「? 言いづらいことか?」

「まあ、その、まだ恩も返せていない身で言うのも申し訳なく思うが、私を正式にパーティに入れてもらえないだろうか?」

「理由を聞いてもいいか?」

「ああ。まず私が言っている恩だが、これを最初に拒否したこと。あの状況でふっかけることもなく、即座に受け取るという選択をしないことから金に意地汚くないということがわかった。次に人柄。少々意地悪なところがあるが基本的には仲間思いであること。風邪を引いた私や皆に対して文句ひとつ言わず世話をしてくれた。更に他の皆も善性の者である。故に、だな。」

「あれはふるいにかけるために言ってたのか!?」

「いや。恩を返したいというのはもちろん本音だ。しかし、人によっては……というよりも大半の者は身体で恩を返せと言ってくると思っていた。」


偏見再び。

しかし、俺も大半の冒険者はそんなイメージがあるから否定しづらいな。

ギルドに行っても人相が悪かったり、筋肉ダルマなのが一杯いるし。


「いや、こちらとしても拒否する理由は特にないし、それにシアとルナの友人をほっとけないしな。みんなもいいよな?」

「うん。」

「ん。」

「はい。」

「もちろんよ。」

「う、うん!」

「ええ。」

「問題などあるはずがありません。」

「忍者が仲間なんてロマンがあるよ。」

「と、いうわけだ。よろしく頼むな、ユキノ。」

「こちらこそよろしく頼む。」


ユキノが仲間になった。

テッテレ〜♪


「さて。ユキノも正式に仲間になったことだし、これを渡そう。シアとルナの分もあるぞ。」


シアとルナの分は俺達と同じように腕輪にしている。

ユキノのは装備の関係で邪魔になりそうなので髪飾りにしてる。

別に腕輪だと決めてるわけではなくルビーを使った装備品ならなんでもいいのだ。

他の縛りは作成者が俺だというのだな。

ないとは思うがウチの名を騙る輩が現れた時に偽物だと証明できるようにだ。

これは念の為にというものだが。


「これは?」

「仲間の証みたいなものだな。みんなもつけてるぞ。」


そう言って自分の分を見せるとみんなも俺に倣って見せている。


「それとユキノのは装備の邪魔にならないように髪飾りにさせてもらった。もしもみんなと同じのがいいというのなら作り直すが、どうする?」

「何!? これはレントの手作りなのか!?」

「ああ。全部俺が作った。」

「そうなのか……ありがたく使わせてもらおう。」

「おう。大事にしてくれよ。」

「私も大事にするわね。」

「わ、私も、大事にするね。」


これで3人が正式に仲間になったというわけだ。

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