第334話 こんな子でした的なお話

結局この日は部屋は別のままで過ごす事になった。

そしてダンジョン内で出来なかったからと嫁達に性的に襲われた翌日。

今後のことについて話すな為に部屋に呼ぶ。


「ユキノさんだっけ? ちょっと話があるんだけど、いいかな?」

「別に構わんが。」

「ならちょっと部屋に来てくれ。立ち話もなんだからさ。」

「へ、変な事はしないだろうな?」

「するわけないだろ。」


庇うように腕で身体を抱きしめながら後ずさった。

その対応は酷くね?

とりあえず否定してから部屋に連れ込む。

いや、別に変な意味はないよ。

ただ招いただけだし、中にはセフィア達もいるし、シアとルナもいる。


「む、アレクシアとエルナもいたのか。となると、報酬の話あたりか。」


なるほど。

そういうのもあるのか。

でも、2人を助けるのは自分の為というか、俺が助けたかっただけだし別に貰わなくてもいいんだけど、それはそれで問題というか、しこりが残る。

それに、このユキノにしてみれば依頼をしてそれを完遂してくれた集団という事になる。

ならば、形だけでもいいから貰っとくべきかな。

だが………


「し、しかし、その、我らは先の戦いで完全な赤字でな、しばし待ってて貰えないだろうか? も、勿論、タダでとはいわん。その………報酬を支払えるまで、わ、私を好きにして構わん。友を救ってくれた恩人に出来るのは、こ、このくらいしかないわけで……」


完全に暴走してるよ、この子。

というか、この子は本当に俺の事をなんだと思ってるんだよ。

さっきの事もそうだし、今だって。

………………あ、女の子を侍らす女好き野郎か。

はたから見ればそうなるか〜。


「いえ、結構です。というか、間に合ってるので。」

「何!? ま、まさか昨日の内に2人をその毒牙にかけたというのか!?」

「してねーよ! なんだ毒牙て!」

「落ち着きなさい、ユキノ。この人はそんな人じゃないわ。」

「だが、男の冒険者は皆女にだらしなくその為に生きていると言っても過言ではないと言うではないか。」


過言だよ。

少なくとも俺はだらしなくなんかないし、純愛を貫く馬鹿を知ってるし、玉砕ばかりしてる奴もいる。


「言い過ぎよ。彼は真面目だからそんな事は全然ないわよ。むしろ、真面目すぎて告白は全部私達の方からになってるし。」

「そう、なのか? ……………………………………ん? 今、私達って言ったか?」

「言ったわよ。私達も、この人の恋人になることになったから。」

「は!? ……………そ、それは、本当、なのか?」

「う、うん。」


ロボットのような動きでルナの方を見てユキノは質問するが、返ったのは赤面と肯定だった。


「そ、そんな。では、私はこれからどうすればいいのだ!?」

「だから、それを話す為に呼んだのよ。私達はこの人の、レントのパーティに入るつもりだけど、あなたはどうする? 私達と一緒にパーティに入るか、それとも他の人と新たにパーティを組むのか。」

「じ、自慢じゃないが、私は交渉ごとは苦手で、とてもじゃないが、新たにパーティを組むなんて。」

「じゃ、私達と一緒にって事?」

「いや、それは………本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫よ。前の街でも何度か一緒に依頼を受けた事もあるし、それに実力に関しても十分すぎるほどにあるから他の連中よりもよっぽど安心できるわよ。」

「う、うん。それに、優しいし、頼りになる、よ。」

「………………2人がそう言うなら。但し最初は様子見だからな。」

「ええ。それでいいわ。」


一緒に行動する事になったか。

まあ、この性格には驚いたが、そう簡単に信用しないというところには好感が持てる。

命を賭ける仕事だから信頼出来るかを見極めようとする考えは大事だからな。


この後は今後の方針を話す。

とりあえずユキノの怪我が癒えるまでとシア達の為に少し休んで、その後はこの街の周辺での依頼を受けて連携の確認をするという事になり、今日は解散する。


午後からシアとルナはデートの為の準備をするとかでセフィア達と一緒に街へと出かけた。

俺はといえば、宿で昼寝したり本を読んだり、爪楊枝を作ったりして時間を潰した。

1人だけの休みなんて久しぶりだな。


帰ってきたみんなと一緒に夕食を食べる。

どうやらデートは明日するようで、シアとルナはそわそわしてる。

うまくエスコート出来るといいな。

明日の事もあるからと今日は致す事なくゆっくりと寝る事ができた。

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