第319話 notバスター的なお話
シア達の危機を伝えてくれた人をよく見てみれば、身体中に傷があり防具もボロボロだ。
こんなになるほどの魔物だとすると、やばいかもしれない。
そう思ってとにかく急ぐ。
門を潜りダンジョンの中に入る。
「リリン、水狼を。」
「ん。」
そして俺はイメージをする。
このダンジョンをショートカット出来るかどうか、正直なところ自信がない。
でも、さっきの人はボロボロだった。
となれば2人がそうなっている可能性は十分にある。
そして律儀に探索して行ってたら絶対に間に合わないだろう。
だから俺はイメージをする。
床をぶち抜き一気に八階層まで行けるだけの一撃を。
なんか、な◯はのバスターが浮かぶんだが………
いや、正しく理想のイメージそのものじゃないか。
元がなんなのかは今は関係ない。
今必要なのは強い力だ。
魔法のベースはファイヤーボール。
この魔法は基本にして無限の可能性を持っている。
「準備出来た。」
「どうしたのレント? 早く行かないと。」
「分かってる。だから、今から床をぶち抜く。」
「え!? そんなこと出来るの!?」
「分からない。でも、やる。もしも出来れば大幅な時間短縮になるから。」
リリンが水狼の準備ができたと教えてくれる。
セフィアが心配してる。
だから、今からやろうとしてることを伝えて少し下がっててもらう。
斜め前に向かって撃つつもりだからたとえ床を抜けなくてもこちらには然程被害は出ないだろう。
でも、万が一があるから退いててもらう。
「すぅ〜、はぁ〜。………よし。」
頭の中にあるイメージをより強固にする。
St◯ikerSでやってた壁抜き。
あれを再現する。
もっともファイヤーボールを元にしてるから火属性になるけど。
「火よ、我が敵を焼き払え。ファイヤーボール!」
「スキル重唱発動!」
単語だけだとイメージが弱いと思う。
だからもっと長く、意味がより分かるようにする。
「力の奔流、大いなる一撃。抉り貫く閃光、業火の一閃。熱く、ただひたすらに熱く、大きく、どこまでも強大な真紅の焔。我が前を阻む障害を消し飛ばし、全てを貫く砲火となれ! 今ここに言の葉を束ね大いなる力と成さん。魔法昇華! 完成! スカーレットペネトレイター!」
イメージがな◯はだった所為なのだろう。
自然と身体が動く。
地を踏みしめ、腰だめに拳を構える。
左手を斜め下前方に突き出しそこから魔法陣で加速用のバレルが形成される。
足先から下半身、腰、上半身、腕へと向かい、捻りによって生じた力を余すところなく全身稼働させて拳へと伝え、撃ち出す。
そして視界一杯に広がる真紅の光。
その光が収まる頃には地面に大きな穴が出来ていた。
うーん。
イメージは確かにな◯はさんだった筈なのに、結果的にはス◯ルさんの方だったよ。
多分本来は杖かなんかを使って放つものを杖を使わなかった為に俺の記憶にあるものから近い現象を起こした動作を引っ張ってきたの、かな?
と、ここで強烈な目眩がする。
「ぐっ!」
「レント!?」
「大丈夫!?」
「大丈夫だ。こんな所で倒れるわけにはいかない、からな。」
ロストマインド。
大量の魔力を一度に消費することで起こる現象。
俺はそれを根性でねじ伏せ、気絶を抑える。
そしてストレージからMPポーションを幾つも出してそれを全て飲み干す。
「何処まで空いたか分からないし、自然と修復されるかもしれないから、直ぐに行くぞ!」
「うん。」
「ん。」
リリンが出した水狼に跨り、階下へと通ずる穴へと飛び込んだ。
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