第301話 誓約式的なお話

「え? 入れない?」

「はい。今は若い夫婦が結婚の誓約式を行っていますので。そんなに時間は掛からないのでもうしばらくお待ち下さい。」

「はぁ。分かりました。」


誓約式?

なにそれ?

そんなのあるなんて聞いたことないんだけど。

というか、俺、それしてないよね。

え?

て事はまだ俺たち夫婦じゃないってことなの?

でも称号にはきっちりと超愛妻家とあるし、セフィアも俺をこよなく愛する妻ってあるってフランが前に言ってたし。

そういえばお祝いはなんだかんだでして貰ってはいるけど、結婚式も披露宴も何もしてない。

それ、不味くね。

3人はしてくれなんて言ってなかったけど、やっぱりそういうのはした方がいいよね。

女の人はそういうのに憧れるって良く聞くし………漫画やアニメと妹から。

でも、今更本人から聞くのは無理。

だからこういう時はアカネに聞こう。


「は? 結婚の誓約式? それがどうした………って、ああ。そういえば式はしてなかったわね。」

「そうなんだよ。それってやっぱりまずいよな。」

「えーと。」

「ん? どうした?」

「その、ね。式はしてないんだけど、式ですることは既にしてるのよ。」

「どういう事?」

「式でする事っていうのはね、まず指輪の交換。指輪をお互いに嵌める事で絆を証明する。そしてこれが最も重要で、神の前、つまりは教会で愛を宣言する……んだけど、あの時、アリシアさん来てたよね。」

「ああ! つまり、直接神様の前でしたから式をしてないけど、式とみなされた。」

「そういう事。でも、そういうのはやっぱりした方がいいと思うわ。私もそうだけど、女の子は憧れるから。」

「やっぱりか。でも、ここで突然するのもあれだし、カインに帰ってしっかりと準備してからにするよ。どうせなら披露宴とかもしたいし。」

「良いわね。こっちじゃ金銭的な問題があって披露宴はあまりしないのよ。精々貴族や大商人が自分達は結婚しましたよって宣伝しつつ他の家との繋がりを求めたり強めたりする位だから。私も何回か行った事あるけど、あれ、息が詰まりそうになるのよね。何処何処には失礼のないようにとか、あそこの家とは付き合うなとかね。だから純粋に祝う披露宴はむしろ周りからも好印象じゃないかしら。」

「成る程。じゃあ、カインに帰った時は手伝ってくんね?」

「良いわよ。でも、貸し一つだからね。」

「うっ。わ、分かった。任せろ。」

「楽しみにしてるね。」


ちよっと怖いけど、アカネは良いやつだしそこまでのは要求してこないはずだ。

きっと大丈夫だ。


「お待たせしました。式は無事に済みました。」

「分かりました。」


入って良くなったので教会の中に入る。

教会はゲームや漫画とかでよく見るような椅子が並んでいて正面には祭壇に十字架、そしてその後ろにはステンドグラス。

イメージ通りの教会だ。


祭壇の前に来て祈りと感謝の言葉を捧げる。


アリシアさんのお陰で毎日が充実しています。

本当にありがとうございます。

これからもアリシアさんの世界で頑張ります。


『応援してますよ。』


っ!?

ははっ!

これは、頑張らないとな。

まさかアリシアさんから神託? 念話があるなんて。

でも、やる気でた。


教会のシスターにお布施を1万程してから教会を後にする。

さて、買い物兼散策に戻るとしますか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る