第298話 初めて実感したよ。的なお話
武器屋見学は非常に楽しかった。
魔物の素材を使った武器がたくさんあって、魔法金属を使った武器もある。
流石に希少なのか、魔法金属を使ったものは他の武器と比べて総量がはるかに少なかったが、それでも見ることができて良かったよ。
売っていたのはミスリルを使った片手剣に、短剣。
アダマンタイトを使ったメイス。
灼鋼と呼ばれる火属性の性質を持つ性質金属を使った槍。
風銀と呼ばれる風属性の性質を持つ金属を鏃に使った弓矢。
と、色々あった。
魔物素材も魔物の骨を使った物、マンティスの鎌を用いた物、牙や爪を使った物、虫の甲殻を削り出した物等色々あった。
俺は買わなかったけどね。
だって、アリシアさんがくれた剣の方が強いし。
レイダさんは灼鋼を使った槍、レッドスティンガーとかいうのを買っていた。
……それ、60万しなかったっけ?
ま、まあ、お金をどう使うかは本人の自由だよね。
そして、日も傾いてきたので宿へと帰ってお風呂へと向かった。
◇
ここのお風呂は本当に広い。
こっちの世界では風呂文化はあまり発展していない。
せいぜい公共の銭湯がある街があったり、好みで用意したりと、必ずというほどの需要は無い。
だからこそ、大きい風呂は珍しく、楽しむことができた。
風呂から出て嫁達が出てくるのを待っていると、髪がしっとりと濡れた嫁達とアカネ達がやってくる。
なんか、こう、色っぽくて、つい見惚れてしまう。
「あ、レント。待っててくれたんだ。」
「え、あ、うん。待ってた。」
「? どうしたの? ひょっとしてのぼせちゃった?」
「いや、大丈夫。問題無い。」
「大丈夫ならいいんだけど、辛いなら無理しないで言ってね。」
「お、おう。そ、それよりももう直ぐ7時になっちゃうから早く部屋に戻ろう。」
「あ、本当だ。」
部屋に慌てて戻り、なんとか間に合ったと一息つこうとしたところでドアがノックされた。
開けるとそこには宿の人がいて食事を持ってきてくれた。
時間ピッタリで凄いな。
「なんか、静かだね。」
「そうだな。」
部屋に持ってきてもらうという都合上、ここにはアカネもレイダさんも蒼井も居ない。
本来は居るはずの人間が居ないだけで違和感があるし、騒がしい蒼井が居ない所為で静かに感じる。
知らず知らずの内にみんながいるのが当たり前になってたんだな。
こうなって初めて実感したよ。
そのまま少し静かに夕食を終えて食後のお茶を飲んでいると、蒼井がアカネとレイダさんを連れてやって来た。
折角の旅なのに遊ばないのはもったい無いとトランプをやろうと押しかけてきたのだ。
「フッ。そうだな。何からやる?」
「大富豪ー!」
急に騒がしくなったが、その騒がしさが心地よくてつい笑みを浮かべてしまう。
その後はみんなで楽しく遊び、夜が更けていく。
「また私の勝ち。」
「また負けた〜!」
「くっ。次こそは!」
というか、リリンさんや。
強すぎじゃないかい?
なんで毎回勝ってるんですか?
それに蒼井は負けっぱなしだし。
レイダさんも結果は芳しくなくて、いい感じに敬語が取れてきてて面白い。
負けず嫌いなんだね。
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