第252話 モンスターパレード(6)的なお話

駆け寄ったセフィアの様子を見ると頭から血が出てはいるものの意識はハッキリしているしちゃんと受け答えもする事ができる。

というか、怪我の理由は防いだ剣で頭を打って少し血が出ただけと言っている。

セフィアが無事で心の底どころか魂の底から安心した。

なので先ずはセフィアの手当てをする。

頭の血を拭うと綺麗な水で傷口をゆすぐ。

流石に染みるらしく、少しばかり顔を歪めた。

それが終わるとポーションを軽くかけていくと淡い光を出しながら傷が塞がっていった。

後に残ったのは傷跡のないいつものセフィアだ。


「ありがとう、レント。僕はもう大丈夫だからリリンの方に行っていいよ。」

「分かった。それじゃ、セフィアはアカネを回収してきてくれ。」

「うん。」


セフィアにアカネの方は任せてリリンの様子を見に行く。

リリンの方も大きな怪我もなくひじを打ち付けたことによる打撲だけのようだ。

いや、それだけでも嫁が怪我するのが嫌ではあるものの、こういう仕事である以上は割り切るべきなんだが……無理。

だって好きだもん。

って今は手当ての方が先か。

まあ、リリンの方はポーションを飲むだけで治るんだけど。


リリンの手当てを終えた頃にセフィアがアカネを連れてきた。

アカネは風魔法で落下の衝撃を軽減させた上に受け身をとったので怪我はなかったそうだ。

凄いな。


三人とも無事だったので戦線に復帰しよう。

みんなはあの怪物と戦ってる時も、二人の手当てをしている時も戦っていて周りには魔物の死体が散乱している。

この辺には他の冒険者もいないという事は全部みんなが倒したということだろう。

というわけで一先ずストレージに収納。

邪魔だしね。

あと、売れるから。


怪物も仕舞ってみんなと合流する。


「みんなお疲れ。そっちの様子はどう? だれも怪我して無いよね?」

「全員無事です、ご主人様。」

「そっか。それは良かった。そんじゃ、あの怪物は倒したことだし反転して魔物を倒しつつ街に向かうか。」

「そうですね。」


それから俺達は街に向かいつつ魔物を殲滅していく。

していくんだが、なんだか魔物の動きが少しおかしい気がする。

さっきまではぶっ殺すぞオラァって感じで襲ってきてたのに、偶に逃げ出す奴がいる。

あれか?

あの怪物がリーダーというかそういう感じのスキルがなんか持っていてそれに従わされていたみたいのか?

まあ、それが本当なら楽になるし、それがなくても逃げる奴はその分楽ということでなんら問題ないんだけどな。

そして俺達が門のところに着く頃には魔物は粗方倒し終わっており、生き残っていたのも逃げ出している。


「それにしても、今回はBランクパーティが居てくれて助かったな。」

「ああ。家には嫁と子供がいるからここを護り切れて本当に良かったよ。」


これは近くにいる冒険者さんの会話だ。

しかし、Bランクパーティが居たのか。

どんな人たちなんだろうな。

ちょっと聞いてみるか。


「なあ、そのBランクパーティってのはどいつのことだ?」

「はあ? 何言ってんだ? あんたらのことだよ。」

「え、俺まだC+なんだけど。それにBランクなんて一人もいないぞ。」


そして俺、リリン、セフィアのランクの時はまだ納得してる様子だったが、アカネ達のランクを説明していくと信じられないと言った顔になった。

なんか、俺達が10年かけて頑張ってCランクまで上げたのに、努力って、ランクって一体なんだろうな……みたいなことをぶつぶつ言いだした。

なんか、ごめんなさい。


でも、文句なら全部アリシアさんに言ってください。

加護のお陰なんだし。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る