第251話 モンスターパレード(5)的なお話

この怪物、攻撃力もさることながら身のこなしも凄い。

3人から攻撃されていながらクリーンヒットを一度も受けていない。

当たっていても浅くて動きを遅らせるほどでは無い。


「はぁ!」


俺が攻撃をしても躱される。

しかし、その瞬間は隙が生まれる。

その隙を見過ごすわけもなく3人が一撃入れていく。

それがうっとしいのか手で払おうとしている。

だけど俺の攻撃を受けると大きなダメージを受けるということがわかっているのか、俺の攻撃は悉く躱している。

躱されまくって正直に言ってかなり悔しいが、それでも着実にダメージを与えているしこのまま倒す……とはならない。


奴は大きく飛び退くと手に闇を宿し、それが剣のような形になった。

しかもそれが全ての腕で行われていて全部で四本の闇の剣が出現している。

あれに物理技って効くのか?

気になったのでストレージに死蔵されていた投擲用のダガーを取り出して適当に投げつけていく。

奴はそれを4本の剣で防いだ。

という事はあれに物理は効くって事だ。

効かなかったらあの剣を防げなくて攻撃され放題って事になるし物理が効いて本当に良かった。

まあ、状態異常になるかも知れないから受けるべきでは無いんだけど。


先ずは俺が奴に斬りかかる。

それは当然のように防がれるが、奴の剣を二本の剣を抑えた。

そして後ろからセフィアとリリンが更に襲い、残りの二本も抑える。

完全に武器を抑え無防備な奴に俺の肩を使って上空に跳び上がるアカネ。

それに合わせて俺、セフィア、リリンが離れたタイミングでアカネの風魔法が奴を圧し潰す。


「エアインパクト!」


ズドンという大きな音が聞こえ勝利を確信しそうになるが、こういうのは生存フラグだ。

そして、その油断をつかれて殺されるという死亡フラグでもある。

だから確実に死んだ事を確認するまでは気を抜かない。


「グオオォォォォーーー!!!」


まだ生きていた。

確かに大ダメージだったようで上の二本の腕がダランとなっていてもう使えないようだ。

しかし、まだ二本腕が残っているし奴が危険だという事は怪しく光る二つの目が証明している。


奴は上空から降りてくるアカネを見据えると落下地点に入ってアカネを斬り払おうとする。

俺の目にはアカネが剣で防いだのが見えたものの踏ん張りの効かない空中という事もあり思い切り吹き飛ばされた。


そして意識をこちらに向けこれまでで一番の速度を出して接近してくる。

たまたま前の方にいたセフィアとリリンに向けて左右の逆袈裟が二人を襲う。

勿論二人も唯攻撃を食らうはずもなくちゃんと防御している。

しかし奴の攻撃力が高過ぎる所為でそのまま二人は吹っ飛ばされてしまった。


「キャーッ!」

「くっ!」


飛ばされたリリンは腕を押さえ、セフィアの方は頭から血が出ていた。

それを見た俺は完全にぶちキレた。


「てめぇ、ぶっ殺す!」


今まで培ってきた力がカチリとハマったような感覚と共に新たな技を閃く。

アカネが以前見せた剣に風を纏わせる技。

練習の過程で偶然生まれた炎の大剣。

その二つを組み合わせた魔法剣技。


「断罪炎覇!」


剣から噴き出した炎は巨大な炎の刃を形成し、俺は奴に接近し閃火の要領で胴体から真っ二つにする。

斬り裂いた所は焼け焦げており、血が吹き出る事はなかった。


まあ、そんな事はどうでもいい。

それよりも二人の事だ。

嫌な想像が浮かびそうなのを押し殺し、頭から血が出ているセフィアに駆け寄った。

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