第236話 明日奢ってよ。的なお話
決闘は最終的にはハンナ義母さんの一人勝ちなきがするが、一応俺たちの勝ちだ。
そういえば、こんな街中で決闘なんてして良かったのか?
こういうのって普通、衛兵さん達がやって来て、こらー! ってなるんじゃないのか?
なんか、一つの可能性が頭に浮かんだが、気のせいだよな。
「な、なあ、ちょっといいか?」
「何よ? はっ、まさか、セフィアお姉様だけじゃ物足りなくて私も欲しいとかいうつもりじゃないでしょうね!?」
「いや、そんなつもりはラージラットのヒゲの先ほども無い。」
「……それはそれで悔しいわよ。」
「そんなことよりも、こんな所で決闘なんてして良かったのか?」
「その辺は何にも問題無いわ!」
「あ、法律違反じゃないって事?」
「事前に申請を出してあるからね。なんせウチの隊員にはいろんな人がいるからね。書類をチャチャっと作ってくれたわ。」
やっぱりか。
流石にそれはないだろうと思いたかったんだけど、そうはいかなかったよ。
それ、職権乱用じゃない?
………気にしないでおこう。
俺には関係ないし。
「所でさ、俺たち決闘に勝ったんだけど、何をしてくれるのかな?」
「へ?」
「へ? って。だってこれ決闘なんでしょう。だったらお互い何か賭けるんじゃないかな? こっちは勝手にセフィアを賭けられたわけだし、ねぇ?」
とりあえず隊長ちゃんを見てニヤリとしてみる。
「ふ、ふん。いいわよ。そんなに言うなら私を好きにすればいいじゃない!」
思い通りの返答ありがとう。
でも、それは全く求めてない。
「いや、それは別にいらない。」
「なんですって!?」
いやぁ、この子からかうの楽しいな。
元気がいいし。
「とりあえず、隊長ちゃんには明日街を案内してもらって、明日のお昼を奢ってよ。それでチャラにするから。」
「そんなんでいいの?」
「いいよ。それとも、そんなに好きにして欲しかったの?」
「そんなわけないでしょう!!」
いいリアクションするなぁ。
これは明日も楽しめそうだ。
「あ、ちょっといいかな?」
「何でしょうか、セフィアお姉様。」
「そのお姉様って止めてくれないかな。ちょっと、恥ずかしいんだ。」
「分かりました。えっと、その、セフィア……ちゃん。」
「うん。」
なんか、フラグが立っている気がするから、そんな物はへし折った。
その後は明日の10時にここに集合って事になって解散となった。
「本当にあれで良かったの?」
「セフィア的にはどうなんだ? もっと怒ったりしないのか?」
「なんか、どうしていいかわからないってのが一番強いかな。」
「まあ、自分の父親が親衛隊の総隊長なわけだしな。」
「う、うん。まあ、ね。」
「とりあえず、明日は楽しもうよ。あの子、からかうとすぐに反応して面白いし。」
「そんな、かわいそうだよ。」
「そう言いつつちょっと楽しそうって思ったろ。」
「うっ! ちょ、ちょっとね。でも、ちょっとだけだよ。そ、そういうレントはどうなのさ。あの子の事好きにしたかったりしたんじゃないの?」
「いや。だって、セフィアの方が九倍はかわいいし。」
「百とか千とかじゃない分リアルだよ〜。」
あ、セフィアが赤面した。
かわいい。
「お兄さん。私は?」
「私も。」
「もちろん二人の方がかわいいよ。」
「えへへ。」
「ふふっ。」
そんな感じで楽しく帰る。
………何か忘れているような……気のせいかな。
〜セフィア家〜
「あれ? なんで誰もいないんだ? それにこのコブは一体?」
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