第228話 ドーナツっぽいの的なお話
2日目は盗賊っぽい人を入れた檻の場所と遭遇したが、そういうのはそうそうないようでここ数日は朝起きてご飯食べて、移動を再開。
途中で事前に作ってある弁当を食べて再び移動。
日が暮れたら家に帰って風呂入って夕飯食べて寝る。
朝起きてご飯食べて移動して昼食べて移動して風呂入って夜食べて寝る。
そんな感じで平穏無事な日々だったが、5日目の今朝は少しだけ違った。
「遊びに来たよ〜。」
「フラン! 急にどうした?」
「どうしたって、遊びに来たに決まってんじゃん。」
「いや、まあ、そうなんだけど……遊び歩いてるんじゃなかったのか?」
「うん。美味しいお菓子を見つけたからおすそ分けに来たの。」
「それはありがたいな……………ん? そのサイズでどうやって手に入れたんだ!?」
「まさか…」
「そんなことしないわよ。ちょっと待ってて。」
フランが少し待つように言うので言われた通り待つとポンッ! って音と共に煙が出てきて、その煙がはれるとそこには等身大のフランがいた。
つまり、この世界を管理している神様の姿があるということだ。
それって大丈夫なのか?
それにお金の問題もあるし。
盗んだりしてないよね?
「何? その目は? ひょっとして私が盗んだとか思ってないでしょうね?」
現在進行形で疑っています。
だってお金なんて持ってないだろうし。
「ちゃんとお金は払ったわよ。これを売って資金を調達したし。」
そう言ってフランが見せてきたのは俺がまだたくさん持っているダンジョンのメダルだった。
確かにそれは売れるけど……良いのか、それで。
お前の一部というか、存在意義だろう。
だからそう聞いてみるとこんな返答が来た。
「これくらい別に問題ないわよ。それにこれは蓮斗達が使ったやつだからもう使用できないし。」
なんか複雑です。
しかし、全部使ったらまた寝ないといけなくなったりしないよね?
なんか少し心配になってきた。
というわけで聞いてみた。
「だ、大丈夫よ。………多分。」
「多分ってお前、本当に大丈夫なのかよ!?」
「だって、私が目覚めたのはこの前が初めてだし、どうなるかなんて分かるわけないじゃない。」
「ごもっともで。」
これは困ったぞ。
世界を見て回るにもお金は必要。
しかしこいつはお金を持っていないしお金を作るには自分の存在意義であるメダルを売らなければならずそのストックもリリンが使ったやつのみ。
それが無くなったらどうなるかわからない。
………どうしよう?
「ねぇ、レント。フランちゃんの事だけどさ……」
「私達がお金を払えばいい。」
「やっぱりそうなるか……。フラン。これ。」
「いいの?」
「仕方ないだろう。それにまあ、知り合いが消えるかもしれないのに黙って見てるわけにもいかないしな。」
「ありがとう!」
ちなみに渡したのは十万リムだ。
結構な額なので大事に使って欲しいものだ。
「あ、それと何か面白いものとか美味しいものとか見つけたらお土産よろしく。」
「りょーかい! あ、これ。さっき言ってたお菓子ね。」
フランが出してきたのは丸くて茶色いお菓子だった。
外側がカリカリって感じしてて、ミスターなドーナツ屋の六つの味が楽しめる小さい奴の詰め合わせみたいなのに入ってそうな感じだ。
というかその物な気がする。
許可を取って食べてみると食感はドーナツそのものだった。
しかし味は少し違うが優しい甘みがあって美味しい。
「じゃあ、私はこれで。」
「おう。またな。」
「あ、最後に耳寄りな情報を。このメダルって初心者ダンジョンだけでなくてこの世界の全部のダンジョンにあるから。だからどっか出かけた時にダンジョンがあったら挑戦してみるといいよ。あ、普通のダンジョンは死んじゃうから行くときは慎重にね。」
そう言うと小さくなって窓から飛んでいった。
そっか。
普通のダンジョンにも出るのか。
挨拶が終わって暫くゆっくりしたら迷宮都市に行くのもありだな。
とはいえ、今すべきは馬鹿の処理だ。
今日も移動をし、合計で十日ほど出かけてエルカに辿り着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます