第179話 く、蜘蛛が……的なお話
嫁+2の料理を美味しくいただいた後、移動を再開する。
午後の予定は生息地の側の街道へと移動した後野営に適した場所を確保してそこで野営だ。
今日は戦わずに明日ハードジャイアントと戦う。
そんなことを話しながら馬車は進む。
その道程はのどかなもので、魔物と遭遇することなく進んでいく。
「平和だね〜。」
「そ〜だね〜。」
「ん。」
「そうですね〜。」
あんまりにも暇だったのでぽーっとしながら馬車の外を眺めて呟くとみんなもそう思っていたようで同意の言葉を言った。
「あんた達。そんなぼーっとする暇あるなら仕事しなさいよ。」
「でも、魔物も出ない事にはすることないし。馬車が揺れるから本も読めない。」
「本は関係ないでしょ。全く。レント。ちょっとこっち来なさい。操車の仕方を教えてあげる。」
「え? 俺?」
「そうよ。そもそも私しかできない時点で問題でしょうが。もしも私が怪我したらどうするのよ。それにそっちのパーティが馬車を使う時に誰も出来ませんじゃ話にならないでしょ。」
「わ、分かった。」
シアの言うことは八割正論、二割超正論だった。
Bランクの魔物と戦うんだから怪我する可能性は十分にある。
それなのにだれも操車出来ませんじゃ壊滅するだけだ。
それにいずれはみんなで旅行とか行きたいから出来るようになっておくに越したことはない。
「ちょっ、やり過ぎやり過ぎ。道具じゃないんだからもっと優しく。」
「こ、こうか?」
「今度は弱すぎ。このくらいよ。」
馬車の馬をうまく操れずにいると焦れたようで側に寄って教えてくれる。
しかし、この体勢はマズイな。
美少女エルフの顔がすぐ側にあって顔が赤くなりそうだら、
それに花のようないい匂いがする。
こういう時はどうすればいいんだ?……なんて考えているとシアと目が合ってしまう。
え? なんで顔を赤くするのですか? なんか勘違いしそうだよ。
嫁がいなかったら間違いなくアタックしてたよ。
嫁がいるからしないけども。
その後はぎこちなくなってしまったが、それでも教わり、なんとか出来だした頃に手頃な場所に着く。
ここら辺で野営場所を見つけて今夜は野営だ。
そう思って林の中へと入っていく。
しばらく歩くとどうやら蜘蛛の巣に遭遇したようだ。
網目状の奴ではなく、沢山いるって意味の……巣に。
ワサワサしててマジでキモいーーー!!
なんなのこれ!?
ぱっと見百はいんじゃね!?
なんでこんなに集まってんの、ばかじゃないの!?
蜘蛛はそういう習性じゃないでしょーが!
◇
それからはただひたすらに大量にいる蜘蛛をそれはもう、ひたすらに魔法で焼いて殺していった。
そしてキモいと思ったのは俺だけじゃないようでみんなも殺していて、ルナも半狂乱になって焼いていた。
セフィアが囲いを作ってそこにリリンが水を大量に流し込んだのは効果的だったな。
まあ、バシャバシャやっててキモさがより際立っていたけど。
しかし、なんか気が削がれたな。
なんかもー野営場所を探すのが面倒になってきたよ。
でも、街道で堂々と野営したら盗賊にどうぞ襲ってくださいと言っているのと同じだからな〜。
蜘蛛の巣窟からそこそこ離れた所に手頃な場所を見つけるがそこは馬車から少し離れすぎていたが、みんなも蜘蛛が嫌なのか特に文句も無く、そこに馬車を移動させて野営をすることになった。
この時ほど、アリシアさんから貰った魔道具がありがたいと思ったことはなかったよ。
あるとすごく安心したからね。
五人いるために前の時よりも長く寝ることができた翌日。
朝食をみんなで食べる。
これからハードジャイアントと戦うんだから、気を引き締めないとな。
蜘蛛はいないよな。
なんか、軽くトラウマになりそうだよ。
と、こんなことじゃハードジャイアントに殺られるな。
顔を思いっきり叩いてっと。
パーン!
痛いけど、気合い入ったな。
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