第178話 やり過ぎた。的なお話

四人が周りを見ててくれてるし、俺はオークを倒そう。

丁度いい敵だし木魔法の練習台になってもらおう。


「草結び。」


「ブモォッ!?」


こっちに走って来ているオークの足元で草結びをすると丁度いい感じに足を引っ掛けて転んだ。

そこに更に草結びを掛ける。


「草結び、草結び、草結び。もひとつおまけに草結び。」


右腕、左腕、両足に胴体を拘束すると草まみれになっていた。

静止状態では流石にこの拘束を破れないだろう。

まあ、普通に倒せるからここまでする必要はないんだけどね。

止めに首を斬り落とす。


「ねぇ、そこまでやる必要ってある?」

「ああ、丁度良かったから木魔法の練習台になって貰ったんだよ。」

「今って木魔法のレベルっていくつ?」

「まだ2。」

「って事は草結びと生長か。他には何が使えるの?」

「いや、草結びだけ。」

「え? 生長も使えるんだよね。」

「全然。というか使い方自体わからない。」

「そんなことってあるの?」

「あるんです。それに木魔法が珍しいから教えてくれる人も居なかったし。」

「ふ〜ん。草結びが使えるんなら生長も使えるはずなんだけど。」

「え!? そうなの!?」


シアがそんなことを言う。

だから俺はつい詰め寄ってしまったけど、これは仕方ないよね。


「え、ええ。草結びは植物を生長させて、その後に拘束させるから拘束させるという概念を取り除けば出来るはずよ。というか、普通は順番逆なんだけど。」

「ありがとう。ちょっとやってみる。」

「あ、待ってレント。その前に薪を出して。」

「悪い、セフィア。じゃあこれ。」


魔法の実験をしようとしたらセフィアに呼び止められる。

そんでセフィアに拾ってきた薪を渡して、再び魔法の練習に向かう。

これが出来れば家庭菜園とか楽になるな。

やらないけど。というか家の庭の広さが足りないから出来ないんだけど。


さて。

確かシアは拘束するという概念を取り除けば出来るって言ってたな。

確かに言われてみれば先ず魔法で植物を生長させてから拘束してる。

ならばその拘束をしなければ普通に生長する筈だよね。

とりあえず試してみよう。

えーと、


「我が魔力を糧にせよ。生長。」


………………?

あ、なんか少し大きくなっている。

でも、1センチくらいなんだけど。

養分にするという感じで糧にって言ったけど、これで良かったのかな?

ちょっとしか大きくなってないけど。

もう一回やってみよ。


「我が魔力を糧にせよ。生長。」


やっぱり1センチだ。

次は魔力を増やしてみよう。


「我が魔力を糧にせよ。生長。」


すると倍の時間かけて2センチ大きくなった。

なんで草結びと違ってグワァーて大きくならないんだろう?

と、考えたところで気づく。

そういえば元に戻っていない。

速度の差は一時的か恒久的かの違いかな。


「我が魔力を糧にせよ。生・長!」


今回は魔力を供給し続ける。

これなら、もっと大きくなるはずだ。

むむむむ、む、むぅ〜。

なんか、頭がぼーっとしてきた。

はあ。

ロストマインドしそうになったので魔法を止めると、対象にした草は見事に花を咲かせ、枯れかけてた。

ちょっと、やり過ぎたな。

まあ、今回はこのくらいにして、戻ろう。

あったかいご飯が待っているからね。

おとと。

まだちょっと頭がぼーっとする。


「あ、レント。ご飯できたよ。」

「いい匂いだな。流石はセフィア。」

「えへへ。ありがと。」

「ん。」


リリンが褒めてと自分を指差してるからちゃんと褒めると、ほんの少しだけ頬を染めてすごくかわいい。

そしてシアとルナも褒めてから座ろうとする。


「おっと。」

「ちょっ! 大丈夫!?」

「大丈夫。ちょっと魔力使い過ぎてロストマインドしそうになっただけだから。」

「「「「は?」」」」

「いや〜、予想以上に生長度合いがしょぼかったから、ついムキになっちゃって、そしたら頭がぼーっとしちゃってさ。」

「「「「レント(さん)。やり過ぎ。」」」」


言い訳しようがなかった。

それと、ご飯は美味しかったです。

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