第177話 無自覚的なお話

ルリエ達へのお土産をストレージに仕舞って宿に行く。

そこで各自部屋で自由に過ごし、食堂に降りて夕飯をいただく。

門番さんがオススメするだけあってシチューは美味しかった。

ただ残念な事に水以外にこだわりがないようでシチューと比べると他の物がワンランクダウンしているように感じる。

美味しくないわけじゃないんだけどね。


夕食の後は寝るまでの間、再び自由時間。

ここには風呂が付いてないようでお湯を有償で提供するだけだ。

水にこだわりがあるなら風呂にも気を使えよと言いたくなる。

六十リム払ってお湯を二つ用意してもらい、それで身体を拭く。

その後で二人と致してから寝る。



朝になった。

今日移動して一度野営をして、その翌日辺りに戦闘となる予定だ。

食堂に移動して朝食を食べる。

やっぱりスープは美味しいんだけど、他がワンランク劣る。

次泊まるのは他の宿にしよう。


馬車に乗って領都を出る。

………というか、領都広過ぎ。

宿から馬車で移動したのに二時間も掛かっちゃったよ。


予想以上に領都内で時間が掛かったけど、予定大丈夫かな?

まあ、魔物をあっさりと倒していけば何とか時間修正出来るだろう。


そんな感じで街道を進んでいくとやっぱり居たラビットやファングを屠っていく。

しかしそれだけではなくて、見たこともない魔物とも遭遇した。


例えば体が強酸で出来ている、強酸粘菌。

見た目は黄色いゲルだ。

こいつは触れると溶けるので魔法で焼いた。

それに木の魔物トゥレント。

こいつも焼いた。

だって木だもん。


初見の魔物もいたがまあ、どいつもDランクだったし弱点が火だったので簡単に倒せてよかった。


そして手頃なところに馬車を停めて昼食にする。

例によって俺は薪拾いだ。

こういう時に木魔法が使えたら便利なんだけど、あいにくまだ俺は草結びしか使えない。

戦闘中は拘束する前に倒せてしまうから使う必要がないし、練習しようにも訓練場は定期的に草むしりされてて手頃な草が無い。

やっぱり火魔法みたいに新しいのを考えるべきかな? ………駄目だ。せいぜい木の枝や根を使うのしか思いつかない。

これじゃどの道薪には使えない。


余計なことを考えたけど、これだけ集まれば大丈夫だろう。

多ければストレージに保管しておけば良いしね。

さて、早く四人のところに帰るか。


〜ガールズ〜

「そういえばさ、黄昏の獅子さんの昇格パーティーの時にレントは何て言ってたの?」

「ふぇ!? えと、その……」

「私も気になる。」

「そ、それは…」

「確か、俺が守ってやる! だっけ?」

「ち、ちが。そうじゃなくて、ま、周りの人に見られてる、から、自分を、男避けに、していいって。」

「そうなんだ。で、どうだった? やっぱりレントはかっこいいよね?」

「う、うん。かっこよかった。レントさんを、貸してくれて、ありがとう。」

「どういたしまして。」

「ん。」

「やっぱりいい人だね。はあ〜、私にもあんな彼氏がいたらな。」

「シアなら問題無い。」

「うん。あ、でも、シアは綺麗だし、レントがシアに夢中になったら困るかも。」

「それ、嫌味?」

「へ?」

「無自覚って怖いわ。」


全く。

この子は本当にわかってないみたいね。

セフィアってばサラサラの髪してて、かわいいし、その上腰とか腕とか脚とかスラってしてる癖に胸もしっかりあって、私とは大違いじゃない。

どんなことしても全然大きくならないし、お母さんもお婆ちゃんもひいばあちゃんも、伯母さんも胸が小さくて将来性絶望的なのに。

はあ。

まあ、この素直さがこの子のいいところなんだけどね。

本当にレントはいい子を捕まえたよね。

リリンもかわいいし、ルリエもいい子だしね。

もう少し早く出会えてたら良かったけどこればっかりは仕方ないか。

それにもう少しエルナの男嫌いが治ってからじゃないとだからどの道無理か。


〜レントに戻ります〜

薪をストレージに仕舞って戻ると何やら四人の話が盛り上がっていた。

それでも、手は止まってないんだからすごいよね。

このまま目の保養にしときたいところだけど、残念ながらオークがそこまで来てるんだよね。

俺一人で何とかなるけど一応声はかけとかないとね。


「オークがいるから注意して。こいつは俺がやるけど一応周りを見といて。」


俺の声を聞いて周りを見だした四人。

うん。

大丈夫そうだな。

俺はさっさとこいつを片付けるかね。

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