第172話 流石はAランク的なお話
家でのんびりと過ごしているとルリエ達が帰ってきた。
ちなみに本来ならば今日はアカネが家で仕事をしてもらうはずだったのだが、ルリエ達が依頼に行くというので、一緒に付いてって貰った。
昨日オークが出たばかりだから念の為に。
「ただいま帰りました。」
「おかえり。」
ルリエが帰ってきたことを報告してきてそれに返す。
その後ろからアカネや蒼井、レイダさんがやって来る。
うん。
全員無事だな。
みんなに黄昏さん達のお祝いパーティーに行くからと、場所を伝えた後に汚れをお風呂で落としておめかしを……とここで気づく。
そういえばドレスコードはあるのか、そもそもそんなところに行くような服は持っていないということに。
「ど、どうしよう。そういえば俺そんな高いところに来て行くような服持ってない。」
「そ、そういえば。私もドレスなんて持ってないわ。どうしよう。」
「い、今から買いに行こうよ!」
「でも、サイズが。」
「「大丈夫だよ。(ですよ。)」」
「ルリエに、アカネ。大丈夫ってどういう事?」
「あそこは衣装を貸し出してるのよ。そういう服を持っていない人が客に来ても良いように。」
「え、でもあそこ安くても一食一万って聞いたけど。」
「頑張って貯めれば大体三年くらいに一度の頻度で行けるのよ。だから基本的には成人の祝いなんかで行ったりしてるらしいの。」
「それにそういう人用に少しだけ安く提供してたりもするそうですよ。」
「アカネは元貴族だから知ってても不思議じゃないけど、なんでルリエまで?」
「えっと、お母さん達が元Sランク冒険者でその時のお金が有り余ってるとかで何年かに一度のペースで連れてってもらってたんです。」
「「「「「「「えーーーーー!!」」」」」」」
「えーー。」
まさかあの女将さんがSランク冒険者だったとは。
人は見かけによらないとは言うけど驚きだよね。
「ま、まあ、そういう事なら汚れを落としてお店に行こうか。」
「そ、そうね。それがいいわ。」
その後は冒険したばっちい連中と、小麦粉で汚れてる俺達は風呂に入ってからお店に行った。
◇
「「「うわーーー、凄ーい。」」」
「大きい。」
「…………………。」
そのお店は四階建ての立派なお店だった。
日本出身の俺と蒼井、そして来た事のあるルリエとアカネは驚かなかったが、セフィアにリリン、シアは感嘆の声をあげ、ルナも驚き、レイダさんは声も出ないようだ。
なんか、レイダさんの顔が少し青い気がする。
しかし、それも仕方ないかも。
四階建ての立派な建物が丸々お店になっているのだから。
奴隷ならば、本来は無縁の場所だろうし。
日本のデパートやスカイツリーに連れてったらどんなリアクションをするのか見てみたいな。
このままここで見上げているのも通行人やお店の人に迷惑だから、驚いている人達を促して店に入る。
そういえば、誘われるままに来てしまったが、お金ってどうなってるんだろう。
確かに家の連中分のお金なら払えるけど、その場合結構な額になりそう。
そんな事を考えつつ店の中に入る。
近くにいた店の人に黄昏さん達のお祝いパーティーに来たと告げると三階のワンフロアを借りきっていると教えられる。
流石はAランクパーティ。
規模がすごいな。
そしてタキシードを貸してもらってパーティ会場に向かう。
セフィア達は準備に時間がかかるとかで先に行かせてもらった。
パーティ会場の中に入ると、想像以上に多くの人がいた。
というか知ってる人があまりいない。
辺りをキョロキョロしてると同じようにキョロキョロしているクルトがいた。
なんか、落ち着く。
クルトに話しかけて緊張をほぐしていると会場入り口でどよめきが起こった。
なんだろう?
黄昏さん達でも来たのかな?
そう思っていると、人の集団がうろうろしつつこちらの方に向かってきた。
一体なんだ?
「あ、レント。ここにいたんだ。」
どうやらどよめきの正体はうちの嫁達だったようです。
そして、みんなに声をかけようとしていた男連中から激しい悪意が向けられる。
うっ!
なんか気持ち悪い。
これじゃ今夜だけで悪意感知のスキルのレベルがかなり上がりそうだよ。
そんな針の筵状態はしばらく続いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます