第169話 ナイス、誤魔化し的なお話
帰る途中だったルリエ達と合流すると、すぐに後ろからセフィアとリリンがやって来た。
というか合流した直後とか、やっぱり二人は速いな。
「お兄さん、どうしたんですか?」
「えへへ、レントってばね〜、ルリエちゃんの事が心配で練習が終わったら速攻で飛び出してったんだよ。」
「そうなんですか!?」
「ん。すごい勢いだった。」
「そうなんだ〜。過保護だって怒るべきなんでしょうけど、どうしよう。すごく嬉しいです。」
なんかすごく気恥ずかしい。
でもその通りなんだから言い訳できない。
「あれ? あれってアレクシアさん達じゃない?」
セフィアがそう言って、俺もセフィアが言う方向を見ると確かにアレクシアさんとエルナさんがこっちの方に走ってくる。
どうしたんだろう?
別に一緒に来て欲しいと言ったわけではないのに。
別れの挨拶もしてないけど。
「ちょっと待ってよ。速すぎるよ。」
「どうしたの?」
「どうしたの? って、あんたがあんまり心配するから私まで心配になっちゃったのよ。それで、どうやら無事のようね。」
「ああ。本当に良かったよ。」
「それなんだけど、実はオークが出たのよね。でも、どういうわけかルリエちゃんを襲おうとしたら突然変な呻き声を出しながら倒れたのよ。」
オークが出たのか。
というかそれってどう考えてもあれが作動してんじゃん。
どう言い訳したらいいのやら。
「き、きっと、オークにもあれがあるんだよ。悪魔の一撃。」
「悪魔の一撃って……ああ、ぎっくり腰。そんな話聞いた事ないけど、まあ、魔物の生態についてはそこまで詳しく調べられているわけじゃないし、そういう事もあるのかね。」
ナイス、セフィア。
なんとか誤魔化せたようだ。
流石にこれは大っぴらに話す事はできないからね。
俺以外の男が手を出そうとするとあれがああなって、背骨あんな感じになるっていう神様から貰ったお呪いなんて。
こんな事が知られたらアリシアさんとの関係をこの世界のありとあらゆる人が詰めかけてくるだろう。
「そんな事よりギルドに行こう。依頼の報告もあるだろうし。」
「そうね。」
◇
ギルドに向かい、依頼の報酬とオークの買取をしてもらう。
オークを倒したと言ってもアカネがおり、彼女はもともとCランク相当の実力の持ち主であり、その事はセラさんも知っている。
その為に俺とセフィアがボアを倒した時のように驚かれたり騒ぎになったりはしなかった。
「それじゃあ、そろそろ私達は帰るわね。明日なんだけど、午前の内に魔法の練習をして、午後はお祝いの品を買いましょう。ところで結果発表はいつかしら?」
「そういえば知らなかったな。ちょっと聞いてくる。」
アレクシアさんの疑問は俺も気になったので、セラさんに聞いてみると明日のお昼頃だと教えてもらった。
その事を伝えると、こう返ってきた。
「丁度いいわね。それじゃあ、明日は九時に訓練場に来て。」
「了解。それじゃまた明日。」
「ええ、また明日。」
「それでは、失礼、します。」
二人と別れた後は家に帰り、いつもと同じように行動する。
風呂掃除して、夕食を食べて、三人と致して、眠りに着く。
そして翌朝、素振りをセフィアと一緒にして、朝食を食べる。
ルリエ達は今日も依頼だそうで、俺はセフィアとリリンの二人を伴ってギルドに向かう。
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