第31話 初めての漫才的なお話

Dランクの魔物であるローグバードとばら撒いた投擲用のダガーをストレージに仕舞った際にふと時間を見ると前に見た時から十分くらいしか経っていなかった。

前に見たのは移動中なので移動距離を考えると戦闘時間は一分くらいしか経ってないようだ。

結構大変だったり怪我しそうになったのに一分というのは驚きだ。


「さてと、それじゃそろそろ行こうか。」

「二羽を相手にしていたけど、休まなくても平気?」

「このくらいなら問題ないよ。」

「大丈夫ならいいんだけど。」

「無理は禁物。」

「本当に大丈夫だから心配すんな。」


ちょっとフラグっぽいけど本当に大丈夫だからな。


探索を再開してから五分くらいでファングを発見する。

幸い一匹だけでこちらに気づいている様子もない。

この時を待っていたとばかりに見つからないように身を潜め早速草結びを発動する。

セフィア達は俺の意図を察して静かに隠れていてくれる。

本当にいい嫁さん達だ。


そして俺はアリシアさんに教えられた(植え付けられた)情報というか、発動までに必要な工程を写した映像をもとに魔法を構築する。


先ずは発動場所を指定。

そこに魔力で魔法陣を構築。

魔法陣には範囲内の植物は一時的に成長し周囲の生物を拘束する。という命令というかお願いが込められている。

そして魔法陣の効果を有効化することで魔法が発動する。


しっかりと発動した魔法は一匹だけでいたホーンファングを拘束する。


「よしっ!成功した。」


魔法が成功した後、リリンが飛び出し即座にホーンファングの首を撥ねる。


「すごかったよ、レント。今のが木魔法?こう草がグワーって伸びて魔物に絡みついてさ。あんなの初めて見たよ、僕。」

「まあ、一応ユニーク属性だしな。微だけど。」

「ただいま。」

「おかえり。」

「お疲れさま、リリン。」

「これ。」

「持って来てくれたのか。ありがとな。」

「…ん。」


リリンが持ってきたのはホーンファングの遺体と証明部位の角。

俺はそれをストレージに仕舞い次の獲物を求めて移動する。


サーチ&デストロイを続けて暫く経ち、お天道さんが真上にきたのでお昼にする。

ストレージ内の調理器具に調味料、パンや野菜なんかを出した後薪拾いに行く。

最初の頃は分からなかったが、ストレージ内は時間が経過しない若しくはかなり遅いようだ。

以前ゴブリンを売り忘れてそのままで、リリンがパーティ入りした後に売ろうとしたら遺体が傷んでいなかった。

その時に時間経過について知った。

それ以降は普段から野菜やパンをある程度入れている。


そして薪を集めた俺は指先から火を出して焚き火をする。

効果範囲が狭い分近接戦闘でも使えそうなのでとりあえずヒートバーナー(仮)とでも言っとくか。


〈火魔法 ヒートバーナー(仮)を会得しました。〉


なんか増えた。というか魔法名で(仮)は如何かと思う。


〈火魔法 ヒートバーナーを会得しました。〉


そんな簡単でいいのかよ。


〈火魔法 ヒートバーナー(笑)を会得しました。〉


笑われた!?もう普通でいいよ。


〈火魔法 ヒートバーナー(仮)を会得しました。〉


おい!普通で良いっつったろ。


システムメッセージ?と一悶着?あった間に昼食の準備が整った。

嫁さん達の料理は美味しいです。


午後からも引き続きサーチ&デストロイを敢行。

ローグバードやトライデントボアが出る事もなく、木魔法の訓練と実験を交えつつ一時間程狩る。


ギルドに帰還した俺たちは依頼の報酬を受け取り、過剰分の買い取りをしてもらう。

Dランクのリリンがいるので今回は前みたいに絡まれる事も無かった。


ローグバードは1羽につき5000リムだそうで4羽で20000リム。

想像以上に貰えた為ホクホク顏で宿に戻った。

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