　辺境公の屋敷に付随する馬屋

　赤い夕暮れが屋敷に色を付ける。

「手紙で概要は聞いたよ。会合の場所としてうちの霊廟を使わせてほしいというのはわかった。自由に使ってくれたまえ。僕が行けるかは具体的な日付によるな」

「先程A国との事前交渉がまとまりまして、4日後になりました」

「それなら大丈夫だから僕も出よう。具体的に何を話し合うかなどは決まってるか？」

「生存している冒険者の状態を確認することがまず第一ですね。今回は特例ということで、向こうで司法取引をした後こちらに引き渡してもらうことになっています。また先日申し上げた通り行方不明者の捜索隊を出す算段もしなくてはなりません」

「どうするだ？どっちが出すかで揉めるだろう」

「帝国側の行方不明者、まぁほぼ死んでるだろうと思うので遺体収容が主な目的となると思いますが、ですのでこちら側が主に人を出す形での共同捜索隊です。向こうは軍と警察の共同作戦となるようですが」

「警察というのは市政で犯罪の取締をやる機関だったか？我が国だと両方とも騎士団がやってる」

「はい。まぁ、その我が国の騎士団制度は少々古いので」

「帝国は革新と骨董品が混在する国だからな。その点は向こうも承諾しているのか？」

「はい。ですので当日までに双方で話を詰めまして、当時具体的な内容を交渉。翌日に出発というスケジュールになります。できればもっと急いで捜索隊を出したいのですが」

「色々面倒な地域だから僕が冒険者に頼む形にしたわけだしなぁ。難しいよ。これでもスピード感ある方じゃないか」

「そう言っていただけると幸いです」

「しかしあの冒険者たちは評判倒れではない。しっかりとした実力がありそうだと思ったんだがな」

「私は本人たちを見ていないのでなんともいえないのですが」

「送り出す前に家で泊まって貰ったから色々聞いたんだが、今回行方不明になっている青年なんかはしっかりとしていたよ。いかにも好青年という感じだったが、剣も鎧もしっかりと手入れされていたし」

「しかし、危険な仕事ですから。運が向かないときもありますし」

「そうとはわかっているが、君にわかるかな。このあいだあった人が行方不明になっている。ほぼ死んでいるだろう、ってなると、なんだか不思議な感覚になるんだ」

「わかります。我々も危険な仕事の一つについていますから。そういう経験がないわけじゃありませんし」

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