第4話 窓の下を覗くと
予備校で一つの学科が終わり、休憩が始まった。外気と室温の差が激しくて、窓を開けようとする予備校生たちがいる。
窓の外は星を隠した深淵な空と、ビルの広告が眩しく情報量が多い。クリスマスのイルミネーションが追加されていつもより喧しく見える。
「あの子、かわいくね? 」
窓の隙間から寒気が容赦なく教室内に吹き込んで、女子達が嫌な顔をする。開けた窓からビル下に立っている子を指して、野郎達が数人群がる。
「この角度じゃ分かんねーよ」
「あの雰囲気なら、ぜってーかわいいよ。観に行こうぜ」
「ばーか、あれ、彼氏待ちだろ」
彼氏待ちなのが濃厚と結論がついて、教室内の盛り上がりが落ち着く。窓際に人気がなくなるのを待って、自分も窓の下を覗く。
『エマだ』
ここの路線上に住んでいるらしいから、定期で立ち寄れたと思う。アスファルトの上で如何にも寒さに耐えてる様な仕草が見えた。
周りに気取られない様に財布だけ持って、ビルの下に急いだ。
まぁ、ちょっと仕掛けたのはあるけど……
数日前の校舎の裏庭の一件。あの後エマの親友に、「予備校の冬期講習と追加講習で学校を休む日がある」と、そう伝えといた。
エマを試すような事をしてるとは思うけど……迷惑料だと思って良しとしよう。
「同じ学部志望の#子__・__#たちと、居る時間増えると思うから、放課後もさっさと予備校に行くから……」
と、付け加えて何もなければ、校内だけの仮面彼女なんだろうな……って。俺、セコイな。
呑気に構えていたしっぺ返しも考えもせずに。
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