学校入学の日
わたしは、いつも通りに朝早くに起きて肩ぐらいまであるボサボサした髪をとかし、まん丸眼鏡をつけて通学(入学ですが)の準備をしてました。服装はもちろん制服です。ワイシャツにくるぶし(足のゴツゴツしたところ)まである長いスカート。それにワッペン入りのコーディガンです。その日は朝からバッチリ決めて緊張しながら父と学校にむかいました。学校に行くためにはスクールバスを使います。(このスクールバスは一定の期間にしか運用されてないため、身内の危篤や春休み以外では家に帰ることは不可能だと、父から聞かされました。ということは明日から缶詰め状態です!)わたしは霧が濃いバス停から刑務所に行く気持ちでスクールバスに乗り込みました!
わたしは、緊張していたので、乗り込んだ直後は何も話さず窓の外側を見ていました。座った席が一〇列あるうちの七列目ぐらいだったので、外の景色がより見やすかったのです。しばらくすると父がわたしに「緊張しているのか。」と聞いてくるものですから、わたしは父を睨みながら小さく反応してやりました。すると父は、なにを思ったのかいきなり笑い出しました。ほかの親御さんは静かな声で喋っているのに、父はとても大きな声で笑ったのです!わたしは恥ずかしくなり顔が熱を持ってしまいました。(その時の感覚はいまだに残っています。)わたしはそれから父とは喋らないことにしました。そんなくだらないことをしているうちに、外の世界が幻想的な世界に変わっているのに気が付きました。
川をまたいだ大きな橋を渡った後、大きな建物の前にたどり着きました。どうやらここがリングベル専門学校らしいのです。わたしは不安と怒りと歓喜に包まれ自分が何をしているのか、わからなくなってしまいました!
わたしはバスを降り、父とともに大きな門(校門とはまた別な門で、昇降口付近ありました。)を通って学校の中に踏み込みました。
校舎のなかはとても甘い匂いが漂っていました。例えるなら、キャラメルポップコーンの様な香ばしい匂いです!なので、わたしと父は最初、入ってきたとき、その匂いを堪能していました。もちろん、わたしたちだけではなく、他の親御さんもその匂いに立ち止まってなにか話をしていました。数分たった後、父は近くにいたお婆ちゃん先生の存在に気が付きました。その先生曰く、「生徒と親は別」らしいです。わたしと父は挨拶を交わしたあと、別れました。
わたしは、ひとりになってしまいました。
誰も話す相手がいないので、つまらない顔をしながら、周りの人たちの流れに沿って歩いていました。周りを見てみる限り、友達とかはみんないないみたいです。つまりこれは、友達を早めにつくった者勝ちということです!そう考えながら歩いていると、ある男の子がわたしに話しかけてきました。自信の無さそうな声でどこに行けばいいのか尋ねてきましたので、わたしは内気な子だと思いました。顔を見たところ髪はブロンド(いわゆる金髪ってかんじ)で右に分けていました。たぶん家柄は良いのでしょうが、実に自信の無さそうな顔をしていました!なので、わたしはその子に愛想よく返事をしてやりました。「はい、わたしジェーン。よろしくね。」って。そしたらその子はソワソワして、口をモゴモゴさせて、ほかを見ながらそして、やっと、口を開けて「ぼく!マイクですぅ…」と、言ったのです。最初は大きかった声が次第に小さくなっていったので、わたしは初対面なのに思わず吹き出してしまいました。ほんとに失礼なことをしてしまいました!そしたらどうしてか、マイク君も笑ってました。なぜ笑っているのか聞くと、わたしの眉毛がどうやら面白かったみたいです。失礼なやつです。
マイクと話をして、仲良くなりました。これは大きな進歩です!なぜこの学校にきたのか、地元はどこか、好きなお菓子は何か、などという話をしたと思います。わたしたちは話すのに夢中になっていて気が付くと、周りにだれひとりもいなかったのです。わたしたちは、自分たちの置かれている状況を把握することが出来ませんでした。とりあえず私は、廊下を歩こうと提案しました。そしてマイクは必至に冷静になろうとしていました。
わたしは呆れながらもマイクを連れて廊下を歩きました。廊下の壁には、いろんな写真やレポートなどが飾ってありました。レポートにはよく分からない絵が描いてあり、評価が「S」と書いてありました。他のレポートは文字ばっかのやつしか無く、つまらなかったです。マイクは写真に興味深々で、いろんな写真のことを聞いてきます。「この写真に写っている人がどうの、この建物がどうの」って…だけど、わたしはあまり興味をそそられません。そうやって廊下を歩いているうちに、向こう側から茶髪のツンツン頭のなにかが、こちらを睨みながら近づいてきました!わたしは嫌な顔をして、その人を見ないようにしました。マイクも一緒です。彼は下を向いていました。
ツンツン頭はわたしたちの嫌な空気をよそに通りすぎて行きました。しかし、それだけならわたしはまだ何とも思いませんでした。なんと、ツンツン頭はすれ違うときに、信じられない言葉を吐き捨てたのです。ひどい言葉でした。正直、書くのも嫌ですが、勇気を出して書きます。「くそカップルが、イチャつくなよ。」わたしたちは決して、そんな仲じゃありませんし、まだお互い知らないことが多いです。だから彼にとても申し訳ない気持ちになりました。マイクだってその時は泣きそうでしたもん!
わたしは頭にきてツンツン頭に向かって大きな声で名前を聞きました。するとツンツン頭は、笑いながら「アビーセット。」と、言ってどこかに行ってしまったのです。わたしは、とても怖かったです。何か嫌なことをされるのではないかと、後々になって思い始めました。しかし、その時はもう本当に頭にきていてどうしようも無かったのです。それに、驚きもしました。てっきり男かと思っていましたから。アビーセットは女でした。
私がマイクを慰めていると、そやつが戻ってきて、わたしたちの名前を聞いてきました。わたしは正直に答えてしまいました!「わたしはジェーン!こっちはマイク!」そう言うと彼女は、わたしたちに道を教えてくれました。どうも変な感じです。わたしはしばらく気が抜けたまんまでしたが、マイクがありがとうと言ってくれたので、よかったです。アビーは、そのままどこかに行ってしまいました。わたしたちはすぐ近くの第二体育館に行けばいいそうでした。
わたしたちは校舎を出て、第二体育館とやらを目指しました。わたしは締め出されてないか心配でしたが、どうやら体育館の後ろのドアが開いていると、マイクが言いました。
わたしたちは、後ろの開いているドアから静かに入ろうとしましたが、体育館が小さいせいで生徒がぎゅうぎゅうになっていて、入れませんでした。わたしたちが困っていると、それに気づいたアジア系の子が、自分の荷物を外へ押しやってわたしたちの場所を作ってくれました!わたしたちはその子に感謝して腰を下ろしました。ステージの上では、髭を蓄えたおじさんが話をしています。校則を破った際のこととかの話をしていたとおもいます。わたしは、その話を聞いているのが実につまらなくって、寝てしまいそうでした!なので、あまり話されたことは覚えていません。
長い話が終わり、退場の案内が始まりました。みんな長くてつまらない話にうんざりしたのでしょう。ざわついていました。わたしはさっきの子に名前を聞こうと思いましたが、外に出した荷物をさっさとまとめて、案内の先生について行ってしまいました。わたしもマイクも荷物をまとめて、人の波にのりました。
この後に最後のお別れ会みたいのをするみたいで、グラウンドのほうへ人が流れていきます。わたしは、これからもう一年は家に帰れないと思って切ない感じになっていました。そうやって、思いに浸ってると、いきなり流れが止まりました。グラウンドについたみたいです。わたしはすぐさま、父を探してあたり見渡しました。しばらくの間、いろんな親の顔を見ていると父を見つけました。わたしはさっさと駆け寄りました。これが父の顔を見る最後の機会になるからです。わたしは父に、母と妹によく言っといてくれ。と言いました。そして少しの会話をした後、父は行ってしまいました。
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