第24話 水の人
短歌一首
暁の空を呑み込む水鏡を
覗きて映る我もまた水
冬の朝、といってもまだ街は眠っている。
冷気が肌を刺す。
湖畔を走る足音だけが響く。
風もない湖面には街灯と木の影が反転している。
東の空がうっすらと色をつけていく。
湖面も真似をして暁を呑み込んでいく。
空も雲も水鏡のなかに閉じ込められていく。
私が湖面を覗き込むと、そこには同じ格好をした自分がいる。
空だ、雲だ、私だ、と思っていたものが、風のざわめきで水に戻った。そこにいた私も波となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます