カケラ

 湊かなえの小説です。

 章ごとに語り手が入れ替わり、一方的に話すセリフだけが書かれる、湊作品によくある書き方です。口語形式なのでとても読みやすいですが、中盤にならないと人間関係や語り手の立ち位置が把握しにくいです。

 

 主人公は美容整形外科の医者で、橘久乃という女性です。とても美人で頭脳明晰ですが

、薄っぺらく配慮が足りない性格のようです。主人公の前で好き勝手語っていく登場人物も、大半は癖のある人物。

 彼らの話には、奇妙な死を遂げた少女に関する証言が現れます。読み進めるうちに少女の死の真相に近づいていきます。

 大量のドーナツに囲まれた死体、という文章がなかなかインパクトがあります。


 女性独特のネチネチドロドロした人間関係や、田舎に縛られる人とそこから出ていく人の確執は、湊かなえ作品ではよくあるテーマです。読んでていい気分にはならないけど続きが気になる不思議。でも、人間模様の書き方はどの作品も似たような印象なので、何か一つでも変化があればもっと面白かったと思います。

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