俺と幼なじみのゲームだけの繋がり〜ゲームの中くらい自由に生きます〜

凛桜

プロローグ


「なぁユキ。これ終わったら少しゆっくりしねぇか?」



 目の前でとてつもない叫びを上げる龍を見据えつつ、隣にいるユキに話しかける。



「確かに、これだけ大変な戦いをするとゆっくりしたくなるよね」


「このゲーム想像以上に自由度高いみたいだしな」



 丸一日大人数のプレイヤーによって攻撃を受け、傷だらけになった龍の体が光り出す。



「この龍倒せばソフトとギア追加販売されるらしいし、いろいろと設備も充実するんじゃないかな」


「家とか建てられるんかな。腰を落ち着けられる場所欲しいよな」



 ますます光量を増していく龍。



「あれっシロ、それは私と一つ屋根の下で同棲したいってことかな?」


「…誰もお前ととは言ってねぇよ」



 龍は一際大きな叫びを上げた。それは離れた位置にいる俺達の体を震わせる程の叫びだった。



「そっかぁ…。私はしたっかたけどなぁ…。」


「うっ…。あ〜、まぁあれだ、俺もユキとなら…」



 あまりの声量に周りにいるプレイヤー達が耳を抑えている。

 しかしそれもおかまいなしに俺たちは会話を続ける。



「ん〜?なぁに?シロ」


「良い土地一緒に探すか…ユキの気に入ったとこに建てよう」



 龍の絶叫が止むと同時に光りも収まり始める。



「うん! だけどシロ?」


「な、なんだよ」



 光が完全に止んで龍が姿を現す。

 その体躯は光る前よりも一回り小さく、しかしその風貌から発せられるプレッシャーは明らかに増している。

 

 そしてその体にもう傷は残っていなかった。



「私、シロとなんて言ってないよっ?」


「…やられた………。」



 俺は誤魔化すように咳払いを一つして武器を構え直した。



「まったくかわいいなぁシロは」


「…ベッドはダブルサイズ一つだけな」



 今までずっと龍を見ていたが、隣のユキを一瞥するとにやにやしていたので、戦闘の始まる直前で仕返しの一言を放つ。



「え!?それってつまり…」


「じゃ、さっさと倒すか」



 一瞬で真っ赤になったユキの顔をしっかりと見届けてから龍に向かって駆けていった。

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