第5話 かいふくし回復屋

民宿での一件いらい

客が多くなってきた、、、


店が繁盛するのは、いい事だが…

ほとんどの客は、僕の回復の能力目当てで来ているようだった。


「かいふくしさん、、今日も腰に魔法をかけてくれ」

そう呟きながら、1人の老人が僕に言い寄ってくる。


あの一件いらい、僕は民宿にて回復の魔法とやらを

老人たちに振る舞う毎日を送っていた。


どうやら、僕の魔法は、お年寄りや病気持ちの方に

とても人気があるらしく、、

最近では、口コミで多くの利用者が増えた。

また、僕の魔法目当てでの常連客が集まっている。


「あんたのお陰で、店が繁盛だわ」

女将さんは喜びながら、僕にマッサージの魔法を要求する。

女将さんの肩こりも魔法で取れるらしい、、、


「たのむ、、助けてくれ、、。」

1人の若者が唐突に店の扉を開けて走ってきた。


「兄さんだろ、最近ここらで、有名な回復士さんは。」

「仲間が、、ひどい怪我をして、瀕死の状態なんだ」

その若者は必死に僕にすがりつく。


どうやら、冒険者の1人だろう…

ボロボロの格好をしている。

冒険の途中でなにかあったに違いない。


『あの、、、どうされたんですか…』

「仲間が魔物にやられて、、身体中が溶けてしまった」


若者は、僕の言葉を聞くなり、

手をひっぱり走り出した。


仲間の元に連れていこうとしているらしい。

だが、僕は自信がない、、、


ようやく、仲間の元に到着したが、、

ひどい状況だ。


仲間という、冒険者の2人は倒れており

身体をみると、、身体が溶けて半分以上なくなっている。


見るからに、もう生きているとは思えない。

だが、冒険者の若者は、必死にすがりつき、助けを乞うている


「分かりました。やってみます」

もう無理な事は分かっていたが、、この状況では、

手をかざし、願う。

どうか、治ってくれ


光が、手のひらから冒険者二人に注ぎ込まれる。

冒険者の身体は、、ゆっくりと治ってきた。


僕の回復魔法は、とても凄いものだった。

周りにいた、人々も驚きをあげている。


なぜなら、死んだはずの者たちが、生き返るのだから。

自然の摂理に逆らう行為である。


『ありが……とう…』

泣きながら、若い冒険者は僕に感謝を伝える。

周りの人々も、歓声をあげる。


「あなたは、、、神さまだ」

皆が、僕に向かって歓声と拍手で称える。


僕は、、、僕のこの力は、、

人々を救うことができる。


回復士として、、

より多くの人々を治し、、

この世界を救う。そう、、僕こそが勇者だったのだ。


『皆さん聞いてくれ、、僕の力をもっと人々に広めたい』

『もっと多くの者を救いたい、傷ついた者、亡くなった者をここに』

僕は立ち上がり、、人々に説いた。

僕の力を、全ての者に使って、全ての者を幸せにする。

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