コンパクトで後味の良い結末

初めまして。ツイッターの「#RTした人の小説を読みに行く」より伺いました。
簡単に感想を書かせていただければと思います。

タイトルの通り、筋書きが明瞭かつ起承転結がハッキリとしており、最終的に心が理想的な形で報われる結末には安心感があります。
無事に結ばれた大智とのその後も、あまり多くは語らずエピローグでさりげなく取り上げられるだけ、というのが個人的には粋で良いなぁと思いました。あくまでもこの話は、目立たぬように生きてきた心が「いじめ」の被害者になるにあたってどのように心境を変えていくのかが主軸であって、その後の二人を書き過ぎるのは恐らく野暮だろうなと感じたので。

ただ、上述した「綺麗な結末」までの運び方があまりにも理想的過ぎるのが少し気になります。どちら側がより正義、正解を持っているのかが確実に分かるように誘導されているような書かれ方で、「スカッとジャパン」とかいう番組がありましたが、その一エピソードを見ているような気分になりました。
意識的にせよ無意識にせよ、対立している人間の思いどころが無視されがちなのは、一人称小説の構造が持つ欠点です。いじめる側、結香にも彼女なりの言い分やロジックを持っているのだと思います。そちらの視点からも書いてみたりして、少し構図に複雑性を持たせるとよりリアリティーが増すのかなと感じました。

次回作も楽しみにしております。