第94話 坊主頭の男
僕たち陵成高校野球部は秋の大会2回戦の日を迎えた。
1年生4人が復帰し、僕はまた補欠になった。
ちょっと悔しいけど、僕よりも彼らの方が上手だから仕方がない。
池崎くんの捻挫は治らず、池崎くんも試合には出られなかった。
今日も上山くんが観に来ているのではないかと思い、
スタンドを探してみたけど、上山くんの姿は見当たらなかった。
今日の対戦相手は格下の日暮高校だ。
大村くんの好投と、松島くんの活躍で2対0でなんとか勝利したものの
やはり戻ってきたばかりの1年生が2人レギュラーで出なければならない
チーム状況はかなり厳しいものだった。
本来であれば、もっと楽に勝てたはずの相手なのに。
続く3回戦、夏に続き、またしても強豪、城東高校と当たってしまった。
今のチーム状況では勝てる訳もなく、
大村くんの好投むなしく、0対2で敗れてしまった。
「みんな、悔しいが今の状況では城東には勝てない。
だが、次こそ、来年の夏こそは、必ず勝とう!」
「はい!」
松島くんの気合の入った言葉にみんな奮起した。
そうだ。
僕たちはこれからなのだ。
これからチームを立て直して、来年こそは必ず城東に勝つんだ。
翌日の放課後。
部室で着替えを終え、みんなでグラウンドへ行くと、見慣れない坊主頭の男が一人、
ユニホーム姿でグラウンド整備をしていた。
うちの野球部は僕や池崎くんのように好き好んで坊主頭にしている者はいるが
坊主頭にしなければならないという決まりはない。
僕たちは不審に思いながらその男に近づいて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます