第87話 仲間
試合の後、オレは急いで球場を出た。
上山がまだ近くにいる。そんな気がした。
オレはスタンドからの出口に向かって走った。
「てめぇ!余計なことしやがって!」
金子の声だ。いた!上山だ。金子たちに囲まれている。
「お前こそ余計なことしてんじゃねぇのか?」
「はぁ?何のことだよ」
「お前、辞めた1年たちに脅しかけたろ?」
「知らねぇよ!」
「じゃあ何で戻ってねぇんだよ。俺達が辞めたのにおかしいだろ」
「知らねぇっつってんだろ!」
上山と金子が睨み合っている。
オレは少し離れたところで様子を見ていた。
「金子。お前、陰でコソコソ何やってんだ?」
金子の連れが言った。
「なんだよ、何もしてねぇよ」
「あっそ。なら良いけど。どっちにしろ俺達には関係ねぇしな」
「関係ねぇってことねぇだろ。俺達、仲間だろ?」
「ああ、仲間だよ・・・。上山もな」
上山は少し驚いた様子で
「お前ら・・・」
「そりゃねぇだろ!」
金子がそう言うと、金子の連れは
「お前、何もしてねぇんだろ?だったら良いじゃねぇか」
「それは・・・」
金子は唇を噛み、拳を強く握りしめ、小刻みに震えていた。
「じゃ、後はお前らでやってくれよ。行こうぜ」
そう言うと金子の連れたちは、金子を置いて歩き始めた。
「野球って意外と面白れぇな」
「そうそう。特にあの“へたくそ”のファインプレー!最高だったな!」
金子の連れたちは笑いながら去って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます