第12話 私と先輩の出会い

私が先輩と初めて出会ったのは

高校の入学式の後、野球部のグラウンドででした。


私は父の影響で昔から野球が大好きで

中学時代も野球部のマネージャーでした。


先輩を初めて見たとき

正直に言えば、エラーをしてばかりで

お世辞にもカッコイイとは言えませんでしたが

先輩がひたむきにボールを追いかける姿が

私にはなぜか輝いて見えました。


翌日、私はマネージャーとして野球部に入部しました。

一緒に入部した1年生は、私も入れて8人。

中学時代から同級生の中では有名だった、好投手の大村くん

ちょっとお調子者で、ムードメーカーの池崎くんがいました。


大村くんは入部初日から全員の注目の的でした。

中学生の時に記録した球速は最速130km。

有名強豪校からもスカウトがあったそうですが

大村くんは地元の陵成高校を選んだそうです。


大村くんの投球を見て

「なんでお前みたいにすげぇ奴がうちの野球部に入ってくるんだよ」

3年生でエースの川北さんが言いました。

「お前のエースの座も昨日までだったな」

3年生でキャプテンの村本さんがそう言うと、

先輩達は皆さん笑っていました。

ただ1人、上山さんを除いて。


池崎くんのポジションはライトで

足が速くて、凄く元気にプレーをしていました。

いつも先輩と、なんだか楽しそうにお話ししているのを

私は遠くから見つめていました。

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