第8話 衝突

高坂と上山の関係は日に日に悪化していった。

そんなある日、水上さんが上山を呼び出した。

「上山。ちょっと児玉に対して厳しく言い過ぎじゃねぇか?」

「・・・」

「お前の気持ちもわからなくはないけど、

 1年があんまり出しゃばってると

 監督や先輩方から目付けられるぞ」

「はい・・・」


翌日、相変わらずアイツはエラーをしてばかりだったが

上山はいつものような怒声は浴びせなかった。


練習後、上山がアイツに歩み寄り

「あ~あ。お前のせいで水上さんに呼び出し食らっちまったよ」

「えっ?」

「お前さぁ、やっぱ辞めてくれよ。

 お前のせいで、俺達、練習に身が入んねぇし、先輩には怒られるし

 本当、迷惑なんだよ」

上山の横で金子がニヤニヤ笑っている。

そこに高坂が近づいてきた。


その様子に気づいた水上さんが

「おい!上山!ちょっと球拾い手伝ってくれ!」

上山をアイツから引き離そうとしてくれたのだろうが

この一言がかえって、上山を苛立たせてしまった。

「球拾いならこいつの方が良いんじゃないっすか?

 いっつも自分のエラーした球ばっかり追っかけて、球拾い慣れてるもんな」

「なんだとぉ!」

高坂が勢いよく、上山に詰め寄った。


水上さんと何人かの先輩が慌てて二人の間に割って入った。

「おい!お前らいい加減にしろ!」

先輩方の制止にも関わらず、高坂と上山は一歩も引かず

お互い今にも殴り掛かりそうだった。

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