第2話

あれが俺の最大の修羅場と言っていいのだが、これも口先三寸でなんとかした。


卒業して地元で就職しても、大学時代よりは少しましになった程度。


いったい俺には何人の水子がいることか。


自分でも検討がつかない。


そんな俺もふと気付けば三十四歳になっていた。


世間からはおっさんと呼ばれる年代である。


――来年は四捨五入すれば四十か……。


そう考えるとさすがの俺も少し不安になってきた。


将来、老後、その他もろもろ。


想いを巡らせていると、一人の女が頭に浮かんで来た。


今付き合っている女だ。


付き合い始めてからもう四ヶ月にもなる。


俺のこれまでの人生において、一人の女と四ヶ月も付き合うなんてなかったことだ。


山ほど女性経験がある俺が認めるいい女だ。


――あいつとなら結婚してもいいかもしれんなあ。


そんなことを考えながら電車を待っていると「急行が通過します。白線の後ろまでお下がりください」というアナウンスが流れてきた。

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