第1話 10年後のぼく。①

シャトランジ正戦より9年の時が経ち、ぼくは23歳になった。

人は23歳になると2つの能力の中、一つを選び、授かることになる。


ぼくは力の能力を授かった。




木の温もりと緑の癒しが感じられる喫茶店で、ハルトと友達2人は人生の岐路である就職活動について現状報告をしていた。



「今日アドゥCorp.の面接行ってきたんだけどさ」


「手ごたえは?」


「ない。大手企業になると優秀な人材が集まるから俺なんかすぐに埋もれたよ。それになんか感じ悪くてさ。『お前なんかがうちに入れるわけないだろ』みたいな事言われたんだよ」


「それはキツいな」


「でも大手に入らないと意味ないんだよな。報酬も格段に違うしさ」


「そう考えると。就活はオレたちにとって最初の戦なんだよな」


「ハルトはどんな感じ?」


「ぼくは全然だよ、力の能力はどこの企業も採用してくれないみたいだ」


「そうだよな、『知恵を選ぶのが賢い選択』って親が言ってたからな」


「そういえばなんでハルトは力を選んだ?」


「憧れの人が力の能力者だったんだ。ぼくもそうなりたくて選んだ。その自信に満ちた顔から出る笑顔は、恐怖心を消し去り勇気をくれた。それに力の能力にはまだ先がある」


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