北条早雲の前半生を描いた「新九郎、奔る!」という楽しいコミックはご存じでしょうか。あれの冒頭で館にカチコミされている足利茶々丸、幼名の関東公方に転生する物語です。戦国時代ですが三英傑の二、三世代前なので、織田大和守とか細川管領家とか守護斯波氏だとか近江の京極だとか、あの時代に没落する人々が最前線で活躍します。応仁の乱から安土桃山まで時代はべったりとくっついていて、その「ちょっと前」が読める、とても楽しい小説です。最近更新が再開されたようですので、続いてくれると嬉しいですね。
足利茶々丸といえば将軍の兄でありながら継母と異母弟を殺したあげく、北条早雲の咬ませ犬となって敗死した戦国期でも最悪の武将とされている。そんな男に現代人が転生するのは信長やその部下のような有力大名となるのと違ってオワコンとしか思えないが、それだけ読者としては彼がどこまで歴史を変えてみせるかに一層興味がでる。さらに面白くなりそうなところでエタってしまっているのは非常に残念だ。作者の奮起を願いたい。