第2話
ーーー季節は、初夏。
冷帯気候に位置し、まだ冬の寒さを感じさせる風が吹くも、ココA県においては、人々は活気に溢れ市場は良好。男女比は5:5で将来的に少子化などの人工的問題はクリアしている。
子供たちの将来の選択としては、大まかに就職コース、普通進学コース、エリート進学コースの3つに区分されている。西月高校-にしつき-と東陽高校-とうよう-の2つの高校から進学を選択すると、県内では北峰大学-ほくほう-と兄南大学-けいなん-の2択になる。
自分の子を宝と言うのであれば、大手企業への地元就職率が歴代99.98%を誇る理系の兄南なのだが、この国の文化に触れ、経験させることができる北峰。どちらも違ってどちらも良い、魅力的な選択を迫られるだろう。
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県の大多数の面積を占める針葉樹林。それらを伐り倒して造られたのがココ、北峰大学。近くを滝が流れマイナスイオンが四六時中漂っているため、近隣住民の肌艶はノリに乗っている。見渡す限り自然に囲まれており、都会に比べて広大に有り余る自然に、幼少期から少々ウンザリしている。
それでも俺が、この地元の北峰大学に通うワケは、単に親元から離れ自炊するのが面倒という理由だったのだが、さすがに大学生になるのだから、自立しなさいと進路決定と同時に初めて親に放任されてしまい、途方に暮れていたが、自由気ままに現在はヒトリ暮らしである。自炊が多少面倒だが…。
大理石で造られた立派な門をくぐり早3ヶ月。ここの生活にはもう慣れた。本日の予定は、午前中はビッシリ座学で、その後は試験前最後に友人たちとサークルの方に顔を出すつもりだ。
まずはいつもの面々に……。
「ヨッ武、遅かったな」
既に来ていたらしい我が親友の山坂照式-やまざかてるしき(呼び名はテル)-とは小学校からの付き合いで、現在も仲良くさせてもらっている。あとふたり、共に行動する友人が居るのだが、今日はコマが無いためか大学に来ていないみたい。
『昨日はテルの進言もあって、なんとか大人の階段を昇れましたことを報告致します……』
「そんなに畏るなって!まぁこれでついに武もオンナを知れたというコトだな」
テルは小学生の頃から女の子にモテていた。モテるが故に同性からの嫉妬は絶えることなく、嫌がらせを受けることもしばしば。それに気付いた女の子サイドが男子達に斬り込んでいったサマはなんとも愉快なモノであった。そんなテルが追い討ちをかけるように男子達に恋愛テクニックを教示し、ミンナシアワセ王国が造られたのは良い思い出だ。
そんなテルから、色々とアドバイスを貰い新井実花-あらいみか(呼び名は実花さん)-とのお付き合い2ヶ月記念に合わせておうちDEデート大作戦を決行し、見事立派なオトコに成れたのであった。
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