第20話 固有名詞で幸祐明視

 マッハ数は物理学者のマッハにちなんでいますが、これがたとえばポカホンタス数という名称だったとしたら全然しっくり来ません。


 地名などは土地柄や気候が影響していますし、似合うようにそこに住む人達が名づけるのでネーミングが馴染むのは分かりますが、マッハ数のような、研究に携わった人物名から名付けられた物理用語が、その現象とごく自然に馴染んでいるのがすごく不思議です。


 物理学者マッハが生まれながらにこの定義を作る使命を帯びていたと仮定するのなら、腑に落ちます。

※「マッハ数」は、ヤコブ・アッケレートという航空技師によって名付けられた。


 松本人志さんはよく譬えで笑いを取りますが、その時ぼかさずにハッキリとした固有名詞を使う特徴があります。

 そのチョイスが絶妙で、松本さん特有の笑いが生まれると見ています。


 体の各部位や、地図の不確かだった地域の名称をはっきりさせると、そのことによってそのものに対する意識が生まれ、内臓や骨の働きを感じるようになったり、道に迷わず目的地に着けるようになったりします。


 固有名詞を知ると、そこから楽しい縁が生まれるような、そんな引力を感じます。


 


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