30話 決めてやるぜ!


出発の日。




昨日は夜遅くまで、食事の仕込みで大変でした。保存がある程度効くもので、醤油をベースにした野菜煮込みやら、肉の煮込みをした。結構これが時間がかかります。


鍋もそんなに多く買ってないので、私は一つの鍋でしました。お母様は炒めものや最後はスープを作ってました。


いい匂いを漂わせてたので、宿の料理人に色々聞かれました。


醤油のことを言うと、是非買わせて欲しいと言われましたが、数が少ないのでお断りしました。




お互いに忙しかったので、お母様とジャンさんのキス(ジャンさんから無理矢理)のことなんて聞けませんでした。


というか聞けませんわね···見ていたのバレますもの。




今朝早くに宿をチェックアウトをし、セイルさんやケインさんたちに料理を運んで貰いました。ケインさんは、料理の匂いに涎が少し出てました。




ジャンさんは早速有言実行をしてました。


お母様にべったりくっついてます。




「はあ····」


これからの旅を考えるとため息がでました。




ヨークテイルの街までは約二週間かかるそう。その間にある村にも寄るとのことでした。






なるようになれですわね!




出発です!










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




道中に二回ほど魔物の襲撃に遭いました。




まずはオーク。また出やがりましたわ!




前回よりは数が少なかったので問題はなかったですわ。




私も参加させてもらいましたわ!




少しずつですが、魔力の調整や、攻撃魔法を教えてもらったので(この辺はジャンさんに感謝しますわ。)実践あるのみですわ!




オークは二匹、お腹に穴を開けて倒せましたわ!




次の魔物の襲撃はゴブリンでした。こいつらの方がやっかいでしたわ。




ちょうど休憩している時でした。






「ゴブリンがきたぞー!」




ヤナカさんが叫んだ。




ジャンさんたちは急いで立ち上がり、ヤナカさんが指を指した方を見た。




「ゴブリンかあ。厄介だな。数は···十数匹だな。フレアちゃんは今回は戦闘禁止ね。」




「何故ですの!?」




「ゴブリンは女を見たら連れて帰って母体にするんだ。ゴブリン自体には繁殖能力ないから、人間の女や他の魔物の雌を拐って繁殖させるんだよ。だから女を見たらその場で犯したりすることもある。幼女なら連れて帰り、育ててから犯される。ゴブリンは特に魔物の中でも性欲は強くて、休む暇もなく犯され続けるらしい。」




まっマジですか!?




魔物に犯されるのは勘弁ごめんですわ!




「10歳以上はターゲットだから、フレアちゃんは狙われる可能大だ!だから大人しく荷台へ乗って。」




「でもリンダさんやサラさんも危ないですわ!」




「リンダやアンナは冒険者だからそれは心得てるさ。」






確かにそうですが···。




「ヤバいぞ!思ったより足が速いゴブリンだ!既に近くに来てる!」




ケインさんが言った途端にゴブリンが現れ戦闘に入った。




「ヤバい!フレアちゃん、早く荷台へ!」




ジャンさんに言われ、入ろうと後ろを振り向いたら、ゴブリンの姿が見えた。




「ジャンさん!こっちにもゴブリンが!」




「何っ!囲まれたか!」






こっちに走ってくるゴブリン。荷台のドアが開いたままだったので、




「お母様!ゴブリンです!荷台のドアを閉めたらすぐに鍵をかけてください!」




私はドアを閉めて戦闘態勢に入った。




「フレアちゃん!」






「もう、私も戦いますわ!」




幸い、先ほどまでセイルさんに剣術を習ってて手元に剣もありますし!




剣を構えてた。




ゴブリンたちは···なんと!女である私たちに一直線に向かってくる!


ケインさんたちと戦っていたゴブリンまで向かってくる始末。




ぎゃー!




リンダさんやサラさんもゴブリンに囲まれていた。




男性陣は各自女性を助ける為散らばった。




私の所にはジャンさんのみですが····。




やはりゴブリンにとっても、リンダさんとサラさんの方が魅力的ですよね···。




それよりも、私たちを見てゴブリンの涎が凄いことに!!




別の意味の危機を感じますわ!






「ファイヤーボール!」




攻撃魔法で撃退ですわ!




ですが、どんどんゴブリンが増えてきてます!




自分たちで繁殖能力ないくせに、何でこんなに多いんですのー!




ジャンさんも攻撃魔法でバンバン倒してますが、なかなか数が減りません。




先に私の方がへばってしまって、一息ついてしまった。




そこの隙を逃さずゴブリンに腕を掴まれ




「きゃー!離して!」




パニックになってしまいました。




我よと次々に手を伸ばしてきて、引っ張り合いになった。




「痛いー!」




「フレアちゃん!」




ジャンさんも必死にゴブリンに攻撃魔法を放つ。




はっ!ダメよ!フレア!戦わないと!




こんな不細工なやつらに何かに犯されてたまるかー!




「ファイヤーボール!ファイヤーボール!」




もう魔力なんて構ってられません!


無くなるまで攻撃魔法は止めませんわ!




その間にも服は破られ、あちこち触られながら頑張りました!




何とか倒すことが出来ましたが、みんなボロボロでした。




特に私と、サラさん。




かなり服が破けてて、正直、犯されたのでは?という姿になってます。




私もサラさんも服の布があまり残ってません。


リンダさんは破けてるだけなのに···。




「皆ひどいよ!リンダのとこばかり行って!私の所なんてケインだけじゃん!」




あっ!私と一緒ですね!私もジャンさんだけしか居なかったです。




どうやら、ヤナカさんもティラズさんもリンダさんの方に行って、セイルさんもいたから三人体制でリンダさんを守ったらしい。




サラさんはプンプンに怒ってました。


それよりケインさんとティラズさんの視線が気になります。




私、めっちゃ見られてます。




それもそのはず。だって、下着パンツ丸見え、おっぱいも手で隠さなけれならないし、背中も丸見えです。背中なんてゴブリンに舐められました!イヤー!




そしてケインさんとティラズさんはサラさんを見た。


サラさんも同じような姿をしてます。




視線の先は····




···サラさんのおっぱいは平らですわ···




···私の方がおっぱいがあります···。




それを見たケインさんは




「サラよりフレアちゃんの方が胸ある。」




と、余計な一言を言い、サラさんからビンタをくらったのは言うまででもありませんわ。




もうゴブリンには会いたくありませんわ!




ゴブリンは私にとってトラウマとなりました。








とまあ、こんな事もありましたが、比較的無事に旅は進みました。




ジャンさんの、ガンガン攻撃は手を緩めることなく、お母様を事あるごとに口説いてました。


セイルさんは「いい加減諦めりゃいいのに。」と呆れてました。




私もそう思いますわ!






少し付け足すと、何故かケインさんが私にアピールしてくるようになりました。




自分はいい物件だとか···。


その度に、サラさんのとこへ逃げてました。






そうして、ヨークテイルの街へ着きました。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






とりあえず、宿を取らないといけないので、ガンズさんにお風呂がある宿を紹介してもらいました。




ここで皆さんとお別れですが、今度は二人で旅になります。




少しここでゆっくりして目的地に行こうと、道中お母様と話し合いました。


目的地の場所はまだお母様は教えてくれませんでした。




明日はガンズさんが、お店に商品を卸すみたいなので、また同行させてもらうことにしました。




マリッコ商会の人たちは3日間滞在して、ベッタングルブに帰るそうです。




私たちは宿へ行き、いつもの通りに一室借りた。




ヨークテイルの街は大きくて、人口も多いそう。王都を思い出します。




お風呂がある宿はいくつかあり、大浴場があるところを選びました。




早速、お風呂に入りたかったのですが、なんと!リンダさんとサラさんと一緒に入ろうと約束したのです!宿に荷物を置いたらすぐに来るとおっしゃってました。




リンダさんもサラさんもたまにはお風呂に浸かりたい!っと言ってたので誘ったのです!




ふふふ。身体は痒いですが楽しみです!




お母様は個室のお風呂へ入ると言って今入ってます。




私は荷物の整理をしましょう。




明日、売る商品の仕分けです。立ち寄った村とかに少しずつ売ってはいたのですが、結構貯まりました。




ハンカチの他に、手提げポーチにも挑戦しました!なかなか上手く出来てると思います。売るつもりでしたが、リンダさんとサラさんにお世話になったお礼にプレゼントすることにしました。




ジャンさんたちはどうしようか悩み中です。




お母様がお風呂から出てきました。




私もそろそろお風呂セットの準備をしなくちゃ。






コンコン




ドアをノックする音がする。




「フレアちゃん来たよー!」




サラさんの声です。




「お母様、サラさんたちが来たのでお風呂に行ってきます。」




お母様に声をかけて、私たちは大浴場へ向かった。






今回の宿は一階に大浴場と、食堂があった。




リンダさんとサラさんはお風呂代を払い脱水場へ。私も、もちろん支払いましたわ。宿泊者だから一般客価格より半額で入れました。




脱水所からムンムンと湯気が立ってて、ちょっと気分が上がりますわ!




ここは受付で貴重品は預かってくれて、その際に鍵を渡されます。鍵にはゴムが付いており手首に嵌めれるようになってました。温泉みたいで安心ですわ。




私達3人は隣同士で服を脱ぎ始めた。




リンダさんは意外に派手な下着でした。色が赤に統一されてましたわ。反対にサラさんは地味な感じでした。肌色の上下の下着でした。サラさん、色気ないですわ。




因みには私は黄色ですわ!




···前も思いましたが、サラさんはおっぱいないですわ···。カップで言ったらAってとこかしら。


思わず自分のおっぱいと見比べしまいました。因みに私はBカップはあると思います。


リンダさんは結構合ってCカップは有りそうですわ。




3人一緒にお風呂へ入りました。




まずは身体を洗わなくちゃ!




私はまずタオルに石鹸を付けて泡立ててました。すると二人がじっと私を見ていた。


そしてリンダさんが聞いてきた。




「フレアちゃん、何してるの?」




「タオルに石鹸付けて泡立てて身体を洗うんですの。」




私は実際、タオルで身体を洗っているところを見せた。




「こうすると、手では届かないところにも届きますので、綺麗に洗えますの。」




すると二人も感動して




「フレアちゃん!凄い!それいいね!」




絶賛してくれました。




とりあえず私が洗い、二人にタオルを貸してあげました。でも一回では綺麗にならないので、タオルを貸している間に手で洗えるとこだけ洗った。


何か視線を感じて後ろを振り向くと、他のお客さんも私たちを見ていた。


数名の人はわざわざ一回出てタオルを取ってきて、真似をしてタオルで洗っていた。




こちらでも普及するしら。ふふふ。






「フレアちゃん!これ、めっちゃいいね!」




リンダさんもご満悦です。




順繰りにタオルが回り返ってきたので最後にまた身体を洗って、さっぱりですわ!




髪の毛も三回洗いました。




今度は3人でゆっくり湯船に浸かりました。




唐突にサラさんが




「フレアちゃんって10歳だよね?その胸って反則じゃない?」




サラさんにじと目でおっぱいを見られてます。




反則って言われましても···




「確かにそうね。でもミチルダさんがあんなに大きいんだもの。フレアちゃんも大きくなるのも納得ね。」




「そうかもだけど!大きくなるの早く過ぎだよ!ゴブリンの襲撃の後、ケインに胸のこといじられまくりよ!」




そう言って、私のおっぱいをもみもみするのは辞めてください。サラさん。






「そうなんですの?」




「そうよ!10歳のフレアちゃんの胸に負けてる!って、実際そうだけどさ!フレアちゃんの方が女をそそられるって言われるし!」




····ケインさん···それはどうかと思いますわ。




「でも、サラさんもこれからですわ!」




リンダさんが首を振り




「サラは18歳だしね。12歳くらいから全然胸大きくなってないし。無理よ。」




リンダさんの方がひどい···。




「なにおー!私だって、男に揉まれれば大きくなる!」




「その男も居たことないじゃない。」




リンダさんの反撃は手を緩めませんわ。


サラさんは悔しそうな顔をし




「リンダも居ないじゃない!お互いに男の経験ないんだから偉そうに言うな!」






二人とも処女でしたか。この世界では結構貴重ですわ。




「まあまあ、落ち着いてください。小さい胸の人がいいって人もいるんですから大丈夫ですわ。なるようになりますわ!」






サラさんは納得出来ない顔をしてましたが、この話は終わりました。






それからは、今までしてきた護衛の旅のこととか、色々話をしてくれました。




「今回の任務が終わったら一度村へ里帰りしようって話をしてるんだ。」




「そうなんですの。楽しみですわね。」




「うーん。村の皆には会いたいけど、親から早く孫を見せろとか、もう落ち着いて腰を据えろとか言われるから嫌なんだよなー!」




リンダさんもウンウンと頷いている。




二人とも、適齢期ですものね。




それからもう一度身体を洗って、お風呂を出た。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






お風呂を出て、二人と別れ部屋に戻った。






すると、階段を登っている時に少し、人の言い争う声が聞こえた。




覗いてみると、




「ミチルダさん、本当に好きなんです!」




あっ!ジャンさんじゃありませんか!




「ジャンさん、何度も言ってますが今は考えられないのです。」




ジャンさんはお母様を抱きしめ




「もう一度だけデートしてください。俺は貴女を幸せにする自信はあります!冒険者も··:ミチルダさんが嫌なら辞めてもいい!フレアちゃんもちゃんと娘として可愛がる自信もあります!」




ジャンさん気が早い···と言うか諦めが悪いですわ。まあ冒険者が諦めが早くては生きてはいけませんわよね。




「····分かりました。明日は用事があるので明後日で良ければ。」




「明後日ですね!分かりました!ありがとうございます!」




「ジャンさん、これが最後ですから。」




「···分かっています。また昼頃にお迎えにきます。」




「いえ、待ち合わせしましょう。······で。」




何?肝心なところが聞こえませんでしたわ!






「分かりました。では12時に!」




そう言ってジャンさんが、こっちに向かってきます。




うわ!ヤバいですわ!




そして階段の所で見つかりました。






「フレアちゃん···」




「えへへ、ジャンさん。」




私たちは階段を降り、裏口へ回った。




「フレアちゃん聞いてたの?」




「聞こえました。」




あくまで盗み聞きではありませんわ。




「···そうか···聞いてたなら分かると思うけど、ミチルダさんこと本気だから。俺は君のお義父さんになりたいと思う。」






「···私のお父様は一人だけですわ···」






「そうか···」






「·····」






「明後日はミチルダさんとデートをする。そんときに決めてやる!明後日はミチルダさんは帰らないと思うから!じゃ!」




ジャンさんは走って去って行った。






えっ?決めるって、何を?




お母様が帰らないって、まさか!




お父様ー!




私は暫くその場に呆然として立っていた。




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