22話  ミチルダの決意





どういうことですの!お父様!




ヴィアインは楽しそうにお父様に話かけている。




 これはお母様に報告すべきかしら?




 三人で話合い、お母様には報告しないことにしました。


もしかしたら、ヴィアインと早々に別れてお母様の所に行くのではないかと、思ったからです。




私たちは動揺し、買い物処ではなくなり、早々に家路に着きました。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 家路に着く間の、馬車の中は三人とも無言でした。






 夕御飯の時間になっても、お母様は帰って来ませんでした。




 私たち兄妹六人だけのお食事となりました。




 お母様はお父様と一緒なのでしょうか···。




 シャベールお兄様もギオレットお兄様も、お母様はお父様とデートしてると思っているようで、陽気に恋人のことをお話をしてます。


 ですが、私たちの反応が余りなく、不思議そうに見てます。


ギオレットお兄様、今はお兄様のノロケを聞く処ではないのです。




 重い空気の中、食事も終わり各自の部屋へ向かっている途中に。




ガチャリ




ドアの開く音がした。




「「「お母様!」」」




 ノーレン御姉様、リリアン御姉様、私とハモってしまいました。




「ただいま帰りました。」




 お母様の表情は暗いです。


やっぱりお父様は·····。




「お帰りなさい。お母様。」




 私、笑顔引きつってないかしら。




 「母上、お帰りなさい。あれ?父上は?」




 ピキっ!


ノーレン御姉様とリリアン御姉様と私は、その言葉に身体が硬直した。




 ギオレットお兄様!知らないとは言え、今は聞いてはならないことを!




 「····おられないわ。」




 お母様は悲しそうに返答します。




お母様····。




「え?そうなの?今まで一緒だったのに、妾の所に行ったのかあ。」




 空気を読め!ギオレットお兄様!




 私はギオレットお兄様にエルボーをお見舞いしましたわ。




「ぐほっ!」




 「さあ、ギオレットお兄様、お部屋で私のお話を聞いてくれると言われましたわ。行きましょう!」




私はギオレットお兄様を押してその場を離れる。




「えっ?えっ?フレア?」




 ギオレットお兄様!黙っててください!


御姉様方、あとはお任せしましたわ!




 私はそのあと、部屋でギオレットお兄様にお説教したのは言うまでもありませんわ。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 次の日の日曜日。




 お母様は普通通りでした。




 お昼前に、お父様が帰ってきました。




すぐにお母様の部屋へ直行してました。




きっと謝ってるのでしょう。仕事が忙しくてとか嘘ついてるのでしょうか···。






 お昼ご飯の時間になりました。




 お母様は普通に見えますが、お父様にはちょっと冷たいような···。


お父様はあまり表情を変えることはない。無表情って言うのかしら。寡黙な方でもありますね。必要なことを以外には余りお話をしませんもの。




だから、今なら焦ってるって分かります。


 もの凄くお母様を見てます!最初は目線をチラチラ。


お母様は、視線を感じてるとは思いますが無視してます。


いつものお母様なら「どうかなさったの?」って言ってます。




 お母様の視線が一向に自分に向かないからか、今度はじっとお母様を見つめています。


それでも無視してます。


····やはり昨日のことを怒ってらっしゃるわね····。当たり前だけど。




 食事が終わり、お母様が立って部屋から出ると、お父様は急いで追いかけてました。






 その日1日は、お父様はお母様にべったりと側にいましたが、お母様はお父様と視線も合わせようともしませんでした。






そして、次の日に事件が起こりました。








 状況は昨日と余り変わってませんでした。




 朝食の間も、昨日と同じ状態だった。お父様はお母様が食事が終わるまで待ち、お母様が立ち上がり部屋へ移動したら追いかけて行った。


 ノーレン御姉様曰く、昨日は寝るときに、お母様はお父様を部屋から追い出したそう。お父様がいる時に、お母様と別々に寝るなんて初めてではないでしょうか。


 お母様のお怒りはまだ治まらない模様です···。




 今日は、月曜日なので学校があります。皆それぞれお出かけの準備をしました。




 執事のセバンがお父様を呼びに行ってます。




 お父様のお迎えはいつも早いのですわ。私はいつもお父様を見送りをしております。




 玄関ホールで待ってますが、


 「遅いですわ。」


 いつもすぐに降りていらっしゃるのに。




 するとバタバタと階段を降りる音が聞こえた。


 おや?お母様が先頭ですわ。




 「ミチルダ、待ってくれ。」




 「ダン、既にお迎えが来て、待たせてますわ。」




 何か言い争いしてますわ。




  「ミチルダ、今日も帰ってくる。先ほどの話をじっくりと話をしよう。」




 「わたくしには、もう何も言うことありませんわ。」




 「ミチルダ···。」




 何か怪しい雲行きですわ。




 「ミチルダ···愛してる」




 きゃー!お父様が愛を囁いてますわ!


 しかもキスしようとしてますー!




 しかしお母様は、顔を背けて拒みました。




 お父様はその仕草にショックを受けている感じでした。


 お母様の怒りは、まだ頂点のままのようです···。




 執事のセバンが、なかなか来ないお父様を呼びにきました。




 「旦那様、お迎えがきてお待ちしております。お急ぎを。」




 お父様は、仕方なく玄関ドアに向かう。




 「ミチルダ···帰ってからだ。帰ってからもう一度話そう。」




  お父様は、後ろ髪を引かれる思いで、何回も振り向き、お仕事に行かれました。




 「·····。」




 お母様はどうしたのでしょう。




 お母様が、セバンに指示する。




 「セバン、今いる子供たちを応接間に来るように言って下さい。フレアも応接間にくるように。」




 「····分かりましたわ。」




 私はその足で応接間に向かいました。








 兄妹六人は全てまだ、屋敷に居ました。




 六人が揃ったところで、お母様が口を開きました。




 「わたくしは、お父様と離縁致します。」




 「「「「「「えー!」」」」」」




 まさかの離婚発言でしたー!




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