第12話 新たな事実、新たな決意




気が付いたら、見慣れた天井が見えた。


いつの間にか、自分のベッドの上にいた。




 『私、気を失ってしまったのね····。』




 オーバーヒートをした頭はまだ上手く働かない。


 豪華な衣装も脱がされて、寝間着に着替えされていた。


 服を着替えさせられた事まで気づかないなんて、どれだけ熟睡してたのかしら。自分に笑ってしまうわ。


それに




 「今、何時くらいかしら。」




ベッドから降り、カーテンを少し開け窓の外を見るとまだ薄暗かった。




 「夜明けくらいね。」




 外を確認して、またベッドに戻り布団の中へ入った。そして瞼を閉じるて、今日の出来事を思い出す。




 色んな事がありましたわ。


ヘレン様のこと、ムーフォンス王子様のこと、ローラン様のプロポーズのこと····




 『君を渡したくない!』


 『君が好きだ!必ず条件を満たすから私と結婚して欲しい!』




 ローラン様の言葉が過る。




 パフンと枕に顔をうずめる。


 思い出したら、きゅんきゅんドキドキしてきて顔も火照ってきた!


 めっちゃクサイセリフいっちゃてるし!キャー!


 ·····。




 プロポーズの返答はどうしよう···。


 ローラン様はとてもいい人。昔、ウザくて嫌みでおままごとを誘った時も嫌な顔をせず付き合ってくれたり、私はお子様よ!ってアピールする為にお馬さんごっこで、お馬さんも笑顔でやってくださったわ。それに···有りすぎて言い切れませんわ。




 それでも私を好きって言ってくれるなんて····ローラン様変わってますわ。




 私もあんな熱烈に『好き』って言われれば嬉しいわ。ローラン様のこと、好きか嫌いかと聞かれたら迷わず『好き』と言うと思いますわ。


 だけど····最低でも爵位持ちは間違いない。子男爵でも妾は一人は囲えるし。


あの方はもっと上の爵位も狙えると思います。そしたら···。




「嫌っ!」




 私は好きな人、将来の夫になる方を複数の人と共有なんて出来ない!


 寵を競い合うなんて····




 やはり騎士の方の花嫁を狙うかですわ。






 そう言えば!リンクス王子様の事を聞かないと!花嫁候補なんて聞いたことない!




 王族の仲間入りなんてごめんだわ!




 お父様かシャベールお兄様はいらっしゃるかしら。いらっしゃったら朝食の時でも聞いてみることにしましょう。


ローラン様へのプロポーズの返事もそれを聞いてからです!




 私は悶々としながらまた眠ってしまった。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 「フレア、起きなさい。」




 「う、ううんーん。」




 まだ眠いです。


 「ほら、早く起きなさい。」




 いつもはメイドが起こしにくるのに、珍しくお母様が起こしに来てくれてます。




 「····おはようございます。お母様。」




 目を擦りながら起き上がる。






 「フレア、大丈夫?昨日は倒れたとローランが貴女を横だきして連れてきた時にはびっくりしたわ。」




 マジか!?また要らぬ注目を浴びた?!




 「取り敢えず、わたくしとローランとで家に連れて帰ったのよ。ローランが凄く心配してたわよ?」




 「お母様申し訳ありません。」




 頭を下げる。




 「ローランにも誤りなさいね。今日の昼過ぎ頃にお見舞いにくると言っていたわ。」




 「はい。お母様。」




 お母様はニッコリし、私の頭をなでなでしてくれた。


 ですが心なしかお母様が窶れてる気がします。体調が悪いのでしょうか?




 「お母様の方が体調が悪いのではありませんか?お顔の色が悪いですわ。」




 お母様の笑顔がちょっと引きつりました。




 「わたくしは大丈夫ですよ。それより、昨日はそのままで寝たからお風呂でも入ってきなさい。お風呂はもう出来てるから。」




 そうだ!香油の匂いもまだ髪の毛にあって気持ち悪い!




 「ありがとうお母様!入ってきます。」




 「朝ご飯もあるし、お父様もいらっしゃるから長湯はしないようにね。」




 あっ!窶れてる原因はお父様ですね!




そう言い、お母様が部屋を出て行こうとした。




 「お母様!」




 「どうしたの?」




 「朝風呂にお父様かシャベールお兄様は入ってないのですか?」






 「?····誰も入ってませんよ?」




 「そうですか…。」




 ちっ!入ってないか!残念!
















 お風呂で身体を綺麗さっぱりした私は食卓へ向かった。




 昨日はあまり食べれなかったから、お腹が空いています!




 テーブルには既に皆が座ってました。




 「お待たせしました。」




 私も席に座る。




 「フレア、昨日は倒れたそうだが大丈夫か?」




 「はい!お父様、ご心配おかけしまして申し訳ございません。フレアはもう大丈夫です!」




 「···そうか。あまり無理するなよ。」




 「はい!ありがとうございます。」




 お父様もお母様に無理させないようにお願いします!




 「気をつけろよ。」


 「ありがとうございます。シャベールお兄様。もうフレアは元気です。」




 シャベールお兄様は、何故かニヤニヤしてますがほっておきましょう。




 「フレア、大丈夫ならあとでお話があるわ。お茶でもしてお話しましょう。」




 ···ノーレン御姉様の目が据わってます▪▪▪。昨日のバトルで何かあったのでしょうか。嫌ですが、




 「····分かりました。」




 そうだ!聞かなくちゃ!




 「お父様!私、聞きたいことがありますの!」






「なんだ?」




 「私がリンクス王子様の花嫁候補だったってお聞きましたが本当でしょうか?」




 ブッ!ギオレットお兄様が紅茶を吐き出しました。汚ないですわ。ギオレットお兄様。


 御姉様方もびっくりされてます。




 「どこから聞いた?」




 と、お父様はシャベールお兄様を見る。シャベールお兄様は目を会わせないようにしてますわ。




 「出所は秘密です。」


 ローラン様から聞いたとは言えません!




「うむ。確かにお前が五歳の時に話はあったが断っている。」




 やっぱりあったのですね!しかも断っているとは!流石お父様です!




 「だが、舞踏会の時にお前を見てリンクス殿下が気に入ったからと、また打診がきておる。」




 なぬー!


 ですが、あの日はリンクス王子様とは一言もお話ししませんでしたが····。




 気に入っていただく所が見当たりません。




 「しかも昨日、ムーフォンス殿下からも打診がきた。」




 「お父様!それは私にですか?」




ノーレン御姉様は身を乗り出してお父様に聞いてます。必死ですわね。




「ノーレン、お前ではない。フレアだ。」




 その言葉を聞いて、キッと私を睨み付けられました。何故ー!




 「ムーフォンス殿下もリンクス殿下も正妃として望んでおられる。」




 とっても嫌でございます!




 「だが、ムーフォンス殿下には既に正妃候補は王女お二方がいるから実際は不可能だろう。ガストンにも言われておるしな。」




 そうでしょう!そうでしょう!


 あっ!ガストンとは国王様のお名前でございます。国王様とは同級生のようで親友なのだそうです。親友でも国王様なので呼びすてなんていけませんが、本人も国王様も気にしてないのでそのままです。もちろん、他の方がいらっしゃったらちゃんと呼んでます。




 「だから側室にと。」




 「嫌でございます!」




 「·····」




 「フレアは側室なんて嫌です!この歳で側室になるの決まるなんて嫌です!私は側室も妾になるのも嫌でございます!」




 正妃も嫌ですが!




 「まあ、確かにな···」




 「お父様!でしたら私が側室になりますわ!」




 ノーレン御姉様チャンスですね!




 「ノーレンのことはガストンにも言っておこう。フレアのこともな···。リンクス殿下の方はいいのか?」




 「リンクス王子様の方もお断りしてください。リンクス王子様にはもっとお似合いの方がいらっしゃいますわ。」




 「そうか···そのこともガストンに確認してみよう。」




 その後はアンナ御姉様もお父様にお願いしておりました。




 お母様とギオレットお兄様は無言で食事をしておりましたが、シャベールお兄様は何か考え込んでおりました。




 ムーフォンス王子様もリンクス王子様も私のどこがよろしいんでしょうか····


 平凡な私より御姉様方の方が魅力的だと思いますが、美覚がおかしいのでしょうか。




 リンクス王子様は確か九才だったと思います。その歳を考えると、私とは丁度いいとは思いますが···。


 政略結婚は嫌だわ。お父様もお母様もそれはしないと、前々からおっしゃっていたから大丈夫だと思いますが不安です。




 思えば、ローラン様、ムーフォンス王子様、リンクス王子様に求婚されてる私って、逆ハーレム状態ですわね!ふふふ。




 私はある決意した。








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