第4話 舞踏会と言う名の集団お見合い②



ズルズル引き摺られるように王族が集まる一角へ連れて行かれた。




王様達も驚いた様子で私達をみている。




「父上、母上、こちらの方はアンドリエ公爵の四女のフレア嬢です。」




 いきなり紹介かい!




 「国王様、正妃様、只今ムーフォンス王子様にご紹介頂きました、ダン▪フィン▪アンドリエ公爵の四女になりますフレア▪フィン▪アンドリエと申します。この度はムーフォンス王子様のお誕生日のお祝いの席にご招待いただきありがとうございます。」






 先ほどと同じようにドレス布を軽くつかみ上げお辞儀をする。




 「ほほお。ダンのご令嬢か。初めてだな。楽しんでるかい?」




 ニッコリと笑顔で言ってきた。


流石は国王だ。威圧感半端ないし。オーラが凄い。身体もガッチリしてて鍛えているのが服の外からでも分かる。なんか渋いおじさんって感じだ。




 「は…」






私の言葉を遮りムーフォンス王子様が




 「フレア殿は料理が気に入ったらしく私のことは忘れていっぱい食べておりました。」




 おい!なんてこと言うんじゃい!しかも嫌みも入れて!くそー!人を食いしん坊みたいに!嫌、食いしん坊だけどね!


私は顔をピクピクと引きつりながら




 「はい!とても美味しくて食欲が止まらなくなりして!オークのステーキなんて最高です!味付けですが▪▪▪」




 お目目をきゅるるんとさせて(顔が普通なので可愛くないが)そのあとも熱く料理の味付けなどを語った


 「▪▪▪と思いますの。」




 それを聞いた国王様は若干苦笑いをしていた。正妃様はお優しい目で見て




 「その言葉を聞いたら、さぞや料理人は喜ぶでしょう。」






 正妃様もニッコリ。




 「いたく我が城の料理人の味がお好きなようでしたのでフレア嬢にケーキをと思いこちらにお連れしました。」




 こっちは別に来たくなかったけどね!




 「はい。ムーフォンス王子様に美味しいケーキがあるとお誘いいただきまして。」




 まあせっかく王族だけが食べれるケーキなんだし!




 はっ!今更ながら、まだ王子様のご兄妹にご挨拶してないことに気付く!ヤバっ!


 急いで探すが、どうやら私には興味ないようで、お二方は周りにハーレムを作っていた。


 どこもかしこもキラキラしてるし。




 やっぱりそうですよねー!八歳のお子ちゃまなんかに興味ないですよねー!


こちらとしては有難いし!…ちょっと寂しく感じるけど…。




 ちょっと意地気気味になってるとムーフォンス王子様がケーキを持って来てくれてる姿が見えた。


 歩く姿もスマートで格好いいですな!


 周りのご令嬢達も目がハートざます!




 「フレア嬢待たせたね。」




 笑顔で白い歯が眩しいです。


 ついでにご令嬢方々の顔が怖いです~!めっちゃ睨んでます…。


 ノーレン御姉様の顔も凄いことになってます…。家に帰ったら問い詰められそう(泣)




 取り敢えずこの場から早く去らねば!




「ムーフォンス王子様、わざわざありがとうございます。」




 私はお礼を言ってお皿を受け取り




 「美味しそう!」




 ケーキはフルーツが沢山のってる!しかものかってるフルーツはザボンと言って森の奥に行かないと取れない品物!生クリームはテカり具合がバッチグーで涎が出そう!




早速パクりと一口。




「…。」




 めっちゃ美味しい!!幸せ~!


ザボンのフルーツがなんとも言えない美味しさ!


パクパク食べあっと言う間に食べた。




 あっ!食べるのに夢中だった!




 「ムーフォンス王子様、ケーキ凄く美味しかったです。ありがとうございました。」




 ペコリとお辞儀をする。




 ムーフォンス王子様がニコニコしながら






「それは良かったです。王城自慢のケーキです。ザボンは昨日私が取ってきたんですよ。」




「そうなんですか?かなり森を奥に行かないと取れないと聞きましたが。」




「うん。そうだね。かなり奥に行かないと取れないよ。散歩がてらにね。まあオークやソールウルフとか魔物が出たけどね。」




 えっ!?やっぱり魔物いるんだ!




 「お一人ですか?」




 「もちろん!」




 マジですか!?王子様なのに一人で?


危ないやん!




それを聞いていた国王様や正妃様は苦い顔していた。




 「ムーフォンス、あれほど森に行くときはお供を連れていけと言っておるだろう。」




 「分かっておりますが散歩は一人で行きたいのですよ。しかもあの森は雑魚しか出ませんから。」




 うわ!魔物を雑魚呼ばわりしてるし!かなり強いんだろうけど、雑魚と呼ばれたオークもソールウルフも年に多数に被害をもらたしているモンスターですが…。






「何かあってからは遅いのじゃ!今度したら私外出は禁止するぞ!」






 「▪▪▪わかりました。以後気を付けます。」






 ムーフォンス王子様って結構やんちゃなんだね。




そんなことはどうでもいいけど、そろそろこの場を離れなければ!






 「国王様、正妃様、ムーフォンス王子様、この度は美味しいケーキにお誘いくださりありがとうございました。とても美味しかったです。私はこれで失礼します。」




 挨拶をし、お辞儀して去ろうしとたが




「フレア嬢、一曲ダンスを」




ムーフォンス王子様が手を差し伸べてきた。




 嫌だー!周りのご令嬢様達がまだまだかと、こちらを見てる(睨んでる)ですがー!!




全く冗談じゃない!




 「ムーフォンス王子様、私あまりダンスは得意ではないんです。」




 潮らしく言ってみる。ダンスは実際は踊れる。これでも公爵の令嬢なんで!!


ただあまり好きじゃなったからよくサボって調味料の研究してたけどね!なので上手くはない!




 「大丈夫ですよ。私がリードしますしフォローしますから。」




ムーフォンス王子様はズイっと手を伸ばす。




 王子様にそこまで云われて断れる訳がない。




「分かりました。足を踏んでも知りませんわ。」






 「大丈夫ですよ。」




 笑顔のムーフォンス王子様。


私はそっと差し伸べられた手を取った。






 ムーフォンス王子様のエスコートでご令嬢様達の嫉妬の眼差しを受けながら舞台の中心へ行き、いざダンス!




「▪▪▪▪」 




 踊りにくい~!


身長差が在りすぎて!だって私の身長124センチ。ムーフォンス王子様は180センチ位。その差約56センチ!丁度王子様の胃の辺くらいに私の顔がある。


足も長いからコンパス違うし!なんか振り回される感じだわ!




しかもムーフォンス王子様の手つきが怪しい。左手の腰ではなく身長差あるので背中に添えられてるんだけど、イヤらしい感じでさわさわ触ってる▪▪▪。




この人もロリコンなのか?ロリコンな~の~か~!?




ケーキのことといい、私に何か好意を寄せてる?




顔は平均で胸はぺっんこだし!どこがいいの?




胸と言えば、アンナ御姉様もリリアン御姉様も八歳の時はすでにふっくらしてたのに私は平らまま…。おかしい。お母様に似てるなら既にボヨンとあってもいいのに…。


こっ、これからだよね!(泣) 






ムーフォンス王子様のダンスに附いていくのがやっとの私。


なぜかムーフォンス王子様は少し屈んできて左手を腰へ…グッと引き寄せて密着度アップさせる。




 「!!」




 ぎゃー!襲われる~!


私、八歳ですよ!胸ないですよ!色気ないから不味いと思いますよ!




離れようともがくがびくともしない!


どうしよう!どうしよう!


と、思っている内に曲が終わった!




すかさず、




「曲が終わりましたわ!」




身体を捻り、密着から逃れた!




「もう一曲いかがですか?」




冗談じゃない!周りを見て!




「ムーフォンス王子様を私が独占する訳に行かないですわ!周りの御姉様方々もムーフォンス王子様と踊りたがっております!私はこの一曲で十分ですわ!」




私は周りを指す。




そしたらムーフォンス王子様は目を細めてこちらを見た。




ぞくっ!背中に冷や汗が垂れる。




「分かりました。ではまた後で踊りましょう。」






 絶対嫌!




私はニッコリ微笑んで




「失礼させたいただきますわ。」




と、ちゃんとした返答もせずその場を離れた。 














 「フレア、ちょっと来なさい」




 ノーレン御姉様が仁王立ちで待ってました。




 「どういうことかしら?」




 ノーレン御姉様!眉間にシワ寄って綺麗なお顔が台無しですよ!




 「どういうことと言われても分かりません。ムーフォンス王子様がケーキをご一緒にってお誘いくださったの。」




 「だからなぜフレアなの?私の方が美人だし、胸あるし、色気も抜群なのに。」




 ノーレン御姉様酷い…。本当のことだけど。面と向かって言われると傷付きます。


しかも自分のことよく分かってらっしゃるがナルシストですね。






 「ノーレン御姉様、私もよく分かりませんが料理のテーブルで私が一人だったから可哀想に思ってお誘いくださったのではないかと思います。」




 「!そうね!そうよね!」




 おっ?機嫌治った?




 「ノーレン御姉様、早くムーフォンス王子様の所へ行かないと先越されまくりますよ。」




 「!!」




 ノーレン御姉様は走ってムーフォンス王子様のいる輪へ行った。




 アンナ御姉様は▪▪▪ちゃっかりランベルト王子様の所にいる。


アンナ御姉様はランベルト王子様狙いなんだ。




 はー。めっちゃ疲れたよ。挨拶も済んだし。帰ろう。




 すぐ側にいたリリアン御姉様に




 「リリアン御姉様、私は帰ろうと思います。」




 「なら私も帰ろうかな。」




 「リリアン御姉様はムーフォンス王子様の所に行かないのですか?」




 「だってあんな殺伐と所に行けないよ。別に側室なんて狙ってないし。私も挨拶は済んだから。」




 おおー!同士?よ!




 「取り敢えずノーレン御姉様は忙しそうだからアンナ御姉様ににフレアと帰ること言ってくるわ。」




 そう言いアンナ御姉様の所へ行き帰ることを告げ、リリアン御姉様と私は家路についた。




 マジ疲れたー!




 明日は誰がなんと言おうと調味料の研究してやるんだから!






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