第21話 有明の月を 待ち出でつるかな

『先生、先生、起きて下さいよぉ…もう、だらしがないなぁ…もう、凄い匂いますよぉ…お酒飲み過ぎですよぉ。』

『あぁ…君かぁ…少し、寝かせくれないかぁ…』

『『はい!』ってなりませんよぉ…もう、ここにきて、2時間以上経ちますからねぇ。』

『えぇ?えぇ!おい、おい、起こせって!』

『起こしましたよぉ…何度も…もう、心配だなぁ…(でも、こんな姿はたまには好きだなぁ…)』

『そうだったのかぁ…ごめんなぁ。ところで何か言った?』

『えぇ?いえ、何も言ってませんよぉ…はい、お水ですよぉ。』

『ぷはぁ!ありがとう。生き返った。ちょっと、シャワー浴びてくるねぇ?』

『あぁ…あと、歯を磨いて、髭も剃って下さいよぉ…(もう、先生ったら、可愛い。)』

『あぁ…さっぱりした。』

『もう、先生…上半身裸でウロウロしないで下さいよぉ…セクハラで訴えますよぉ。(なんて素敵な身体何だろう…鍛えていないのに…きゃ!なんて素敵なんだろう。あぁ…抱かれたい…いやぁ〜だぁ、私ったら…)』

『おい、顔が赤いけど熱あるのか?あれぇ、ないなぁ…大丈夫そうだけどなぁ…』

『もう、先生ったら、さりげなく触らないで下さいよぉ…(うれしいけど…)』

『あぁ…ごめん、ごめん、つい、気になってなぁ。』

『(そりゃ、うれしいぞぉ。気になって…うれし過ぎる。)あぁ…ところでどうして、お酒なんて飲んだのですか?もともと、そんなにお酒は飲まないのに…』

『久しぶりに、仲村さんと飲んだんだぁ…コラムの打ち合わせでねぇ?』

『えぇ!良いなぁ…二人きりですか?』

『そんな事はないけどなぁ…最近、物騒な事件が多いから、『すれ違う奇跡』に気付いたら事件もなくなるのにという話で盛り上がってなぁ…つい、つい、飲み過ぎたぁ。』

『えぇ、すれ違う奇跡って?』

『聞きたい?』

『もちろんですよぉ…聞きたいなぁ…』

『稲村さんに質問ねぇ?生まれてから、1日3人とすれ違い、80歳まで生きたら、何人の人とすれ違うと思う?』

『えぇ?突然、そんな質問をされてもわからないですよぉ?』

『そっか…なら、教えないねぇ?』

『えぇ…気になりますよぉ…教えて下さいよぉ…』

『いやぁ、教えない。』

『どうしてですか?』

『考える事さえしないで答えを知ろうとする事が問題なんだよぉ…それが、どんな結末になると…思う?突発的な震災や事件に遭遇したら?』

『確かに、パニックになり、自分の命さえ助かれば…っと考えてしまいます。』

『そうでしょ?だから、答えを知る前に考えてみる事がどれだけ大切な事か?理解出来たねぇ?では、答えは出たからなぁ?』

『ちょっと、待って下さい。365×3×80…で…』

『そんな難しくはないよぉ。数字は割りやすい数字にすれば、簡単に答えが出るのさぁ?例えば、400×3=1200。1000×80=約8万人でしょ?』

『あぁ…そっか、なるほどねぇ?』

『では、地球上の人口は?』

『あぁ…確か、76億人程…ですねぇ?』

『つまり、単純に割るとすれ違うのでさえ、奇跡って事にならないかぁ…確か、0,0004%ぐらいだったなぁ…』

『ということ、関わる事はもっと奇跡なんですねぇ?』

『そう、そうなんだよぉ…するどいねぇ?今までそれに気付いていなかったから…はじめてこの事実を知った時に心に花火がうち上がった!『たまやぁ〜って!』叫んで、大声で泣いたよぉ…』

『そんな大げさなぁ…』

『おい!すごい事だぞぉ?もしかしたら、恥ずかしいのかぁ?気持ち良いからやってみなぁ!』

『知りませんよぉ…近所迷惑になって苦情になっても…『もう…すごいぞぉ!私は今!奇跡が起きた!たまやぁ〜〜〜〜!!』

先生、すごいよぉ。すごく、気持ち良くなりましたぁ!』

『だろぉ?すげぇ〜、気持ち良いだろぉ?』

『本当に元気になりました。ありがとうございます。『すれ違う奇跡』かぁ…これからは、この奇跡の1ページが増えていくんだぁ。ワクワクするなぁ…』

『よし!まずは私を笑顔にしてもらわなきゃなぁ…』

『こうかなぁ?』

『おい、急にキスするかぁ…(すごくうれしいなぁ…最高!)違うって、いつもの…』

『あぁ…こっちかぁ…はい、ルイボスティーとチキンサラダとパクチー大量のサラダとハムとチーズのサンドイッチです。(はぁ、こっちだよなぁ…へこむなぁ…)』

『あぁ…ありがとうなぁ…。今日の朝食は格別だなぁ…可愛い稲村さんからのキスつきだからなぁ…最高!』

『(えぇ、嫌がっていない…寧ろ最高って…)もう、冗談ばっかり…』

『でも、『すれ違いの奇跡』を知ってからは、これからが大切だと気付いたかも知れないけど…まだまだこの事実を知らない人やきっかけさえ知らずに生きている人が多くいるんだぁ!』

『そうですねぇ?『すれ違う奇跡』は実はすでに起きていたんですねぇ?』

『そうなんだよぉ…大抵の人は困った時に神様にお祈りしたり、今、現実の世の中に色々な問題を抱えて、自分を信じる事が出来なくて自暴自棄になったり、他人と比較したりして、相手を蹴落とす事で満足感を得ているんだぁ…』

『そうですねぇ…私も今までの自分はそうだったのかも…知れないなぁ…』

『『すれ違いの奇跡』を知った瞬間から新しい未来を歩んでいこうなぁ…』

『そうですねぇ…(えぇ、これって、運命なんだぁ)』

『あぁ…そう言えば、どうすれば…『自信』を得る事が出来ると思う?』

『えぇ?『自信ですか?』(私には今まで、『自信』とは無縁の人生を歩んできたからなぁ…)そうですねぇ…1日を大切にする事ですかねぇ?私は考えた事がなかったけど…』

『おしいなぁ…でも、違うよぉ…』

『えぇ?違うんですか?』

『答えは『自分を信じる事』だよぉ…。『自分を信じる事によって『信念』に変わり『自信』になるのさぁ!』』

『あぁ…なるほどねぇ?先生は『自分を信じているんですか?』』

『当たり前だぁ!『周囲が無理だぁ!』と言えば『やってやる!』って常に考えて、『がむしゃら』にやりたくなるのさぁ!』

『カッコいいなぁ…尊敬します。』

『あぁ…原稿が出来ているから…持っていってねぇ?』

『はい。』

『では、原稿が出来たら連絡するねぇ?』


『あぁ…今まで、『奇跡』が起きていたのに…気付いていなかったなぁ…今までたくさんの人に逢ってきたけど…私って最低だなぁ…。でも、『すれ違いの奇跡』に気付いた事は私にとっての財産になったなぁ…もしかしたら、この事実を知らせる為に…先生にお逢いしたのかもなぁ…これって、運命かもなぁ…それから、『自分を信じるかぁ…』すごく自信を持てそうだなぁ…』


『あぁ…伝わったかなぁ…遠回しに『すれ違いの奇跡』は運命的な出会いという事に…いつか、お互いが運命的な出会いとして、成長出来たらなぁ…まだまだ、これからだなぁ…さぁ、仕事、仕事だぁ!』


今日の百人一首は…

『素性法師〜今来むと 言ひしばかりに

長月の 有明の月を 待ち出でつるかな』


20××年

『あぁ…それにしても、遅いなぁ…ホテルの喫茶店に21時だったけど…時間はあっていると思うけど…

『今日は仕事が終わってから、誕生日をお祝いするねぇ?』って21時に約束したのに…あぁ…先生からラインだぁ…『ごめんなぁ…仕事で『作家の集い』が長引いていて…23時頃に新横浜駅につけるけど…大丈夫かなぁ…ごめんねぇ?』って…(泣きそう…でもなぁ、逢いたいなぁ…)『大丈夫だよぉ…待ってます。』とラインを送っておかなきゃなぁ…』

『あぁ…良かった。それにしても、23時に新横浜駅だなぁ…』

『あぁ、楽しみだなぁ…少し、時間があるから…ホテルの喫茶店でゆっくりと先生の小説を読んで待っていよう。

『すいません、ダージリンティーとチョコレートケーキをお願いします。』』

『はい、かしこまりました。』

『あぁ…ホテルの喫茶店で待ち合わせって…ドキドキするなぁ…1人で待っていると少し大人になったなぁ…』

『お待たせしました。ダージリンティーとチョコレートケーキです。』

『ありがとうございます。美味しいなぁ…先生に逢えると思うといつもの倍以上に美味しいなぁ…』

『へぇ、なるほどねぇ?先生の作品は読みやすくて集中するなぁ…』

『あのぉ?ラストオーダーになりますが…大丈夫ですか?』

『えぇ?喫茶店は何時までですか?』

『23時までです。後、坂浦様より、ご伝言がありまして、新幹線に乗り損ねてしまい。小田原駅からタクシーでこちらにむかっているので…最上階のツインの部屋でお待ち下さい。』との事です。こちらが、鍵になります。ルームサービスの予約は事前に頂いておりますので、後程、お持ち致します。』

『あぁ…すいません、こちらに、お名前だけを頂きますが、宜しいでしょうか?』

『はい。すごい、素敵なお部屋だなぁ…それにしても、いつまで、待たせるのかなぁ…(逢いたいなぁ…)それにしても、月が目の前に…綺麗だなぁ…。もう、最高!!』

『ピンポーン、すいません。ルームサービスです。モエシャンドンとワインと花束とケーキをお持ち致しました。それでは、ごゆっくりおくつろぎ下さい。』

『はい、ありがとうございます。もう素晴らしい演出じゃないのぉ!

こんなに愛されて幸せだなぁ…

あぁ…早く、逢いたいなぁ…。

それにしても、すごいなぁ…飲みたくなるなぁ…モエシャンドンって…高いよなぁ。

こちらのワインはシャトーモンペラだぁ!飲みやすくて好きだなぁ。

でも、我慢しなきゃ…少しだけ…ベッドで横になろうっと…』


『あぁ…少し、寝ちゃたなぁ…今、何時だろうぉ?えぇ…嘘…もう、2時って…あれぇ、先生は?まだ、来ていないけど…』

『先生から、着信履歴とラインが入っていた。えぇ、渋滞って。1時になるかぁ…それにしても、遅いなぁ…タクシーが事故!先生、先生?大丈夫ですか?つい、寝てしまって…すいません。』

『いやぁ、良かった。怒ってしまったかなぁ…っと心配したよぉ。ごめんねぇ?今、十日市町なんだけど…申し訳ない。』

『いえいえ、良かった。こちらに来れそうですか?』

『今、新横浜にむかっているよぉ…本当にごめんなぁ…3時過ぎになりそうだよぉ…本当にごめんねぇ?』

『大丈夫ですよぉ。先生が交通事故にあって心配しましたよぉ…大丈夫ですよぉ。待ってますよぉ。)それにしても、有明の月になってきたなぁ…)』

『ありがとう。あぁ、有明の月を待ち出でつるかも…だなぁ…』


『あぁ、夢かぁ…それにしても、最低な誕生日だなぁ…誕生日をお祝いする時は予定を入れないようにしなければなぁ〜。それにしても、タクシーで事故にあって、ホテルの最上階のツインを予約って。すごい展開になっているなぁ…えぇ、ホテルの客室キーって…』














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