crystal knights
雪ノ山 噛仁
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プロローグ
地獄のような光景であった。
街ではいたる所で火が上がり、怒号や悲鳴が聞こえてくる。
そして人々は蜘蛛の子を散らしたかのようにとにかく逃げる。
自分たちを追うモノたちから。
恐怖する人々の目に映るモノ。
文献や伝承などで見ることが出来る異形の存在——
『悪魔』
『悪魔』達は手当たり次第近くにいる人間を襲う。
切れ味の良い曲刀の様な大きな爪で——
肉食獣のような鋭く尖った牙で——
得体のしれない人間には理解できないような事象で——
やがて逃げ遅れた家族が『悪魔』たちに囲まれる。
父親は妻と子供たちを守るよう前に出、母親も子供たちを抱きかかえるよう守る。
『悪魔』たちはその光景を見て奇怪な声で笑い、そして父親へと異形の爪を——
「そこまでだ、『悪魔』ども」
爪が父親の頭上でピタリと止まる。
『悪魔』が声の方へと見やる。
そこには制服を着た高校生ぐらいの少年少女が数人立っていた。
どの少年少女も『悪魔』たちに対して恐れなど抱いていない、そんな
その中の一人、ニット帽を被った少年が口を開く。
「ったく……お前らの親玉も
はぁ、と溜息を吐き『悪魔』たちを睨む。
「『神サマ』に喧嘩売るついでにこの世界を――人間を滅ぼそうなんてな」
その隣にいる別の少年も口を開く。
——人間を滅ぼす
父親はその場にへたり込む。
その言葉が本当であれば我々人間に逃げ場所も何も無いのでは、と。
絶望。
家族がその思いに支配されかけていた。
しかし――
「だけど、僕たちがそんなことさせない!」
凛としていて力強い声。
家族がその声を発した少年を見る。
笑顔。
そう何者にも屈するものかと言わんばかりの輝く笑顔。
絶望しかけていた家族をも救うそんな笑顔。
しかしふと思う。
何も、武器すらも持たずに何故そこまで『悪魔』と対峙して強く出られるのかと。
そう思っているとその笑顔の少年は掌に小さな水晶の様な物を乗せそれを握りしめ力強く叫ぶ。
「我らを導け!――宝剣『ソードオブソード』!!」
瞬間、眩い光が発せられ辺りを包む。
父親が恐る恐る目を開く。
少年の手には宝石が鏤められた一振りの剣。
その剣を見た『悪魔』たちは
だがその内の一体が奇声をあげながら剣を持つ少年へと飛び掛かる。
少年は——ごく自然に、剣を振り上げ、振り下ろす。
一閃
剣の軌道が光となり、飛び掛かった『悪魔』を真っ二つにする。
左右に分かれた『悪魔』の体は光と成り四散していった。
「まだ戦うつもりなら、かかって来い」
少年の眼光に他の『悪魔』たちは恐れ
「大丈夫ですか?」
眼鏡をかけた少女が家族たちに近づいて話しかけてくる。
「あ、ああ……」
驚いたもののなんとか声を返す父親。
後ろを振り返れば安堵の表情を浮かべる子供たちと妻。
「とにかく近くの避難所に向かってください。
私たちの仲間が守ってくれますから」
眼鏡の少女とは別の少女がやってきて家族へ話しかける。
父親は安心してからやっとこの疑問が頭に浮かんだ。
そしてそれを少年少女たちに問いかける。
「君たちは一体何者なんだ?仲間って――」
「おーい部長ー!」
父親の言葉を遮るかの様に声が聞こえてきた。
その声の主も助けてくれた少年少女たちと同じ制服を着ている。
「アキラがなんとか敵さんの本拠地、乗り込める算段がついたってさ」
「そっか。それじゃあさっさと親玉懲らしめてきますか!」
部長と呼ばれた少年の言葉に周囲の少年少女たちは力強く頷く。
そして思い出したかのように少年が家族に向き直り、笑顔で父親の質問に答えてくれる。
「僕たちは『
またの名を――『
これからみんなで世界を救って来ます!」
そう言うと少年は
それに従うように一人、また一人歩き出す。
この世界を滅ぼそうとする元凶の地へと
「これは過去から現在、現在から未来へと繋がる物語」
「彼らの道のりは険しい」
「時には挫折し、歩みを止める」
「それでも再び立ち上がり歩き出し、彼らは
「さあ、
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