ペリドット

あなたのことを本当に愛していました。それだけが全部だったんです。それだけが本当に全部で、まばゆく光る何もかもがあなたの前では嘘でした。罪はだんだんと重なり続けるもの。道はだんだん狭まっていき、残像が消えていって、あとは黄緑色のペリドットとあなたのいた痕跡だけがわずかな灰となって地面に転がっています。私はいっしょに寝転がろうと腰をおろしただけなのにそれだけでもう身体の節々が痛んで、せり上がる罪悪感に耐えきれずその場から逃げ出します。


あなたの寝顔をなでようとしていつも虚空を切っていたあの日を思い出します。自分のつらさにかこつけて、あなたのつらそうな顔を見ないふりをしていたのは私でした。世界にあなたがもし一人だけだったらあなたはつらくなかったのでしょうか。あなたが身代わりに私を殺してさえくれれば、あなたの気は晴れたのでしょうか?あの日から、神は少しずつ私をみはなしていって、暗がりではあなたの絶望が少しずつ溶け出していくようでした。少しつらかったかな?何をといかけてもあなたの返事は決してないままなのです。


「セックスをしないと出られない部屋に入りましょう。」平然なまま痛みを押しつける世界はいつまでも終わらない雨を待ったままでした。とっておきの花束をあげるねといって取り出したあなたの花束はどうにもくしゃくしゃで、それが面白くていつまでも笑い転げていました。執拗な記憶がだんだんと私を追い詰めてきて、それでも私は何もできないままだったのです。遠ざかっていくあなたを私は決して振り返らまいとして歩いて行きました。

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